予防できるならば予防したい感染症。おたふく風邪は小児期に感染する流行性耳下腺炎ですが、ウィルスに対する抗体をもっていない人であれば、大人になっても感染します。特に 妊婦 の方は、 おたふく風邪 に限らずすべての感染症に対し大変敏感になっています。
おたふく風邪に感染し発症した場合、胎児には影響があるのか。薬は服用できるのか。予防できるのか。不明な点が多いですので、これらについてまとめてみました。
妊婦のおたふく風邪に関する注意点
おたふく風邪に感染し発症してしまったら
通常、おたふく風邪にかかっても、実際には対症治療といって、熱を下げる、耳下の痛みをとる、といった程度の治療方法しかありません。したがって、特効薬あるいは治療薬が存在していないのです。
小児の場合もそうですが、おたふく風邪にかかってしまったら、自宅で1週間程度ゆっくり療養することが大切なのです。
妊娠期間中におたふく風邪を発症してしまった場合は、耳下腺の腫れや痛みをとるために、痛みの箇所を冷やすこと、そして痛みで食事が思うようにとれない場合は、栄養不足あるいは水分不足になりがちですので、胎児に栄養をしっかり行き届けさせるためにも、食べやすい食事メニューやイオンウォーターなどで栄養補給を怠らないようにしてください。
胎児への影響
妊娠中におたふく風邪にかかってしまった場合、胎児に影響が出るという報告は、現在のところありませんので、安心してください。しかしながら、妊娠4~7週には注意が必要です。妊娠4~7週は超過敏期といわれ、胎児に最も大切な時期といっても過言ではありません。
この時期に、胎児の器官が形成されはじめるため、服用する薬、あるいは摂取する栄養、これらの影響が大変大きいといわれているためです。服用した薬によっては胎児の無脳症そして二分脊椎といった神経系の奇形を引き起こします。
また、妊娠8~15週も、胎児の末端器官の形成が行われる時期ですので、奇形ではありませんが胎児の手足が短くなる、あるいは目や鼻が小さくなる、低体重症などを引き起こすといわれています。
妊娠中の薬の服用について
おたふく風邪では、我慢できない場合は、発熱や痛みといった症状を出来る限り緩めたくなります。ここでは胎児の奇形リスクを伴う薬を挙げておきますので、前述の妊娠週の服用はなるべく避けてください。
まず、抗生物質(塩酸ミノサイクリン、オスミシン、クラビット、ジェニナック、スオード、サラソピリン、パクタ)です。抗生物質は抗ウィルス剤ともよばれ、ウィルスの働きを阻害する役割をするのですが、胎児に毒性があるといわれていますので注意が必要です。
つぎに鎮痛剤(ボルタレン、インテバン、ロキソニン、モービック、セレコックス、ポンタール)です。鎮痛剤は、解熱作用や痛みを和らげる作用をもつので、市場にも多く出回っており適切な使用であれば通常は問題ないのですが、前述の妊娠週では使用を避けてください。
唯一、妊娠中に使用可能な鎮痛剤は「カロナール」です。必要な場合には、医師に処方してもらってください。市販の薬には不明な点が多いので、自己判断は避け、まずは婦人科の担当医に相談しましょう。
妊娠前に予防接種を
妊娠したいと考えている方は、是非、妊娠する前に、かかりつけの医師あるいは婦人科や内科で、おたふく風邪の予防ワクチンの接種をお勧めします。
ご自身が小児期におたふく風邪にかかったかどうか記録のない方は、事前に血液検査による抗体の有無を確認できますので、不安になる前に、まず一度医院へ行ってみましょう。また同時に、ご家族(配偶者や小児)の方にもワクチン接種をしてもらいましょう。
ご存知のように、おたふく風邪は、大変強い感染力をもつウィルスが原因で、飛沫あるいは接触によって感染を広め、同居家族では97.5%の確率で必ずといってよいほど感染するためです。
感染確率をみてもわかりますが、家族内であれば、手洗い、うがい、マスクをする、タオルをわける、部屋を隔離する、こういった防策だけでは、実際のところ予防対処ができていない場合がほどんどです。
おたふく風邪は潜伏期間が長く、感染していても発症するまで時間がかかりますので、知らない間に感染しているという可能性も大いにあります。妊娠中におたふく風邪にかかりたくない方は、予防接種を受けておきましょう。
まとめ
妊婦のおたふく風邪に関する注意点
おたふく風邪に感染し発症してしまったら
胎児への影響
妊娠中の薬の服用について
妊娠前に予防接種を