医療技術の発展に伴い、産後のさまざまなリスク回避を考え 羊水検査 を考える方が増えています。とはいえ、この羊水検査には「命の選択」を含む倫理的な判断がふくまれます。
誰もが気軽に受ける検査ではないため、改めて羊水検査について知ってもらいたいと思います。
羊水検査を考えるあなたに知ってもらいたいこと
羊水検査で何がわかるの?
羊水検査では、胎児の染色体を調べることができます。これにより性別の判断も可能ですが、多くの方の目的は、胎児の先天的な病気の原因である染色体の異常があるかないかです。
羊水検査ではダウン症についてはほぼ100%近い確率でわかると言われていますが、100%近いというだけで絶対ではありません。また、いくら染色体に異常がなかったとしても、奇形の可能性もないとは言えないため、この検査によってすべての先天性異常がわかるわけではありません。
先天性の異常を判断する検査として母体血清マーカーテスト(クアトロテストなど)の名も聞くことがありますが、こちらは先天性の異常を「確率」で判断する検査ですが、こちらもあくまでも「確率」である為、本当に異常があるかどうかはわからないのが実情です。
どんな検査をするの?
妊娠14〜17週の間に少量の羊水を採取し、染色体の分析を行います。採取方法は、超音波で胎児や胎盤の位置を確認した後、お母さんのおなか(子宮)に細い針を指し、羊水を10〜15cc程抜き取ります。
この時、局所麻酔をすることもありますが、麻酔をしなくても痛みは筋肉注射程度だと言われています。なお、結果が出るまでには約2週間ほどかかります。
いくら位かかるの?
羊水検査は保険適用外の検査のためすべて自費となり、羊水検査に必要な超音波の検査などをすべて含めると10〜15万円近くかかります。
保険適用外のため、高額医療費還付の範囲外になるため、注意が必要です。
どんな人が受けるの?
検査を受ける人の多くは、染色体異常の障害児を産んだ経験のある人や遺伝の心配がある人で、約100人に1人くらいの割合だと言われています。
35歳以上の妊娠は胎児のダウン症の確率が高くなるため、検診の際に羊水検査を受けるかどうか聞かれることがありますが、実際は90%以上の方は受けていません。というのも、検査のリスクの方が染色体の異常よりも高いことが原因のひとつでしょう。
羊水検査のリスク
羊水検査の知名度は上がってきていますが、リスクもあるのが現状です。羊水検査が原因で起こる流産や死産は1/300〜1/500と言われおり、その中でも頻度が高いのは、羊水採取後の破水(羊水漏出)です。
ほとんどの方は入院して抗生物質を使いながら安静にしていれば回復しますが、とはいっても完全に安全とは言えないため、リスクをふまえた上で、検査を受けるか考えなくてはなりません。
結果を受けて
羊水検査の結果に問題がなければいいのですが、問題があった場合にはその後の対処を考えることになると思います。
「産む」のか「産まない」のか、100%では無い可能性での異常があるからといって、せっかく授かった命をあきらめてしまえるのか、かなり倫理的な問題です。とはいえ、置かれている状況は人それぞれ。その判断がどのようなものでも、否定することは難しいでしょう。
もし「産まない」選択をする場合には、法律で決められた人工中絶可能期間に行わなくてはならないため、遅くても21週6日までには決断をしなくてはなりません。
この期間を越えると、無理矢理陣痛を起こさせ胎児を排出させるという、出産と同様の処置をすることになります。胎児にはまだ自力で生きていく力が備わっていないため、結果として死産になってしまいます。
羊水検査を考える際には、周りやテレビなどのメディアに流されず惑わされず、あらゆる可能性についてしっかりと夫婦、家族で話し合い、後悔の無い選択をしていただきたいと思います。
まとめ
羊水検査を考えるあなたに知ってもらいたいこと
羊水検査で何がわかるの?
どんな検査をするの?
いくら位かかるの?
どんな人が受けるの?
羊水検査のリスク
結果を受けて