お腹の中の赤ちゃんは羊水を飲んで、それを尿として排出します。羊水を飲む量と排出する量はバランスが保たれています。赤ちゃんが十分に育つためには、この羊水が大きな役割を果たします。
羊水過少 について学びましょう。
羊水過少ってなに?赤ちゃんは大丈夫なの?
そもそも羊水ってなに?
羊膜腔を満たす液体で、ほとんど水分からなっています。少量の無機塩と有機物質とを含んでおり、弱アルカリ性です。妊娠初期は無色透明ですが、妊娠末期には胎児の皮脂や脱落上皮などがまじることによって、白濁に変色します。
羊水の量
羊水は妊娠の進行とともに増量して、妊娠7~8か月で最大量の約700ミリリットルに達します。しかし、以後分娩まで漸減して、妊娠末期には500ミリリットル前後になります。
羊水の起源とは?
妊娠初期には羊膜からの分泌ならびに母体血液から液体が染み出ることが、主だと考えられていますが、妊娠中期以降には胎児の尿も加わります。
そのため、妊娠7か月ころに羊水が増量するのは、胎児の腎機能の活発化が反映しているといえます。
一方で、羊水の吸収も羊膜で行われますが、胎児の消化管で吸収されて、胎盤を通じて母体の血液にいたる経路もあります。
羊水の役割
妊娠期間中は、温度や圧力などの胎児の環境を一定に保ちます。そして、外力による衝撃をやわらげることにより胎児の損傷を防ぎ、胎児の自由な運動を確保しています。また、分娩中は、子宮の収縮により胎児や臍帯が直接圧迫されるのを防いでいます。
羊水中にある胎児の代謝産物を調べることにより、胎児の成熟度や病的状態を知ることができるため、羊水は胎児情報としても重要な意味を持ちます。
羊水の異常とは?
羊水量が800ミリリットルを超える羊水過多症、胎児が低酸素状態になったときの羊水混濁、羊水過少症の3つがあります。
羊水過少症とは、どういう状態?
羊水過少症とは、羊水量が100ミリリットル以下の場合のことをいいます。
妊娠初期に発症するものは、胎児の染色体異常・腎不全・肺低形成などを合併することが多く、胎児の予後はあまりよくありません。
また、分娩時には臍帯の圧迫を受けやすいため、胎児機能不全になりやすいです。
症状
妊娠している週数に比べて、お腹が小さく大きくならず体重の増加がみられないことがあります。
また、お腹に触れたときに赤ちゃんの手や足がわかりやすいことや、胎動を感じないなどということが症状ですが、自覚することは難しいです。
これらの症状が気になる場合は、かかりつけの産婦人科で相談をしましょう。
原因
赤ちゃんが飲む羊水の量が減少すると、尿の排出量も減少します。そのため、飲む量と尿の排出量のバランスが崩れると、羊水の量も減少してしまいます。
胎児側の排出量の減少の原因は、先天性異常で胎児の腎臓や尿路系の問題がおき、尿の生成や排出に障害がおこります。
また、妊娠高血圧症候群や予定日の超過などによる、胎盤機能不全でも尿量の減少になります。
そのほかには、感染や薬物の使用などがあげられます。
主な羊水の流出の原因は、自然破水です。破水により羊水が子宮の外へ流れ出てしまうため、羊水過少の原因となります。
どのような診断方法?
経腹超音波検査により子宮内の壁と胎児の間で、最も遠い距離の羊水ポケットが2センチメートル未満であることや、妊婦のお腹を4つの領域にわけ、それぞれの領域で最も羊水の量が多いところの合計の値である羊水インデックスが、5センチメートル未満の時は羊水過少と判断します。
治療方法はあるの?
赤ちゃんの状態や妊婦の状態によって処置は異なります。
症状によっては入院が必要になる場合もありますが、症状が軽ければ自宅で安静にして様子を見ることになります。
水分を多く摂取することや、重要な臍帯の血流が悪くならないように仰向きではなく、横向きでの体勢で休むことがすすめられています。
人工羊水補充療法
羊水減少による、臍帯の圧迫の軽減が期待されます。これにより、出産や検査などを潤滑に行うことができます。
まとめ
羊水過少ってなに?赤ちゃんは大丈夫なの?
そもそも羊水ってなに?
羊水の起源とは?
羊水の異常とは?
羊水過少症とは、どういう状態?
どのような診断方法?
治療方法はあるの?