「羊水の役割と羊水過少が及ぼす影響について(前編)」では、羊水の役割や羊水過少となる原因についてご紹介しました。
後編では、 羊水過少 がもたらす胎児への影響や治療法をご紹介します。
羊水の役割と羊水過少が及ぼす影響について(後編)
羊水過少がもたらす影響とは?
羊水は赤ちゃんを守る役割を担っているため、その羊水が減ってしまうと子宮壁や臍帯に赤ちゃんが圧迫され、外部からの衝撃にも弱くなってしまい、奇形や仮死のリスクが増加します。
また、臍帯も子宮壁と赤ちゃんから圧迫され血流が悪くなり、赤ちゃんに充分な栄養や酸素が届かず赤ちゃんの健康に悪影響を与えることとなります。
また、羊水は体を動かす場でもあるのですが、羊水過少では十分に体を動かせる空間がないため、手足や関節の縮こまりや、変形が生じてしまうことがあります。
そして、この世で生きていけるかを左右する肺の発達への影響があります。赤ちゃんは羊水を飲むことで肺呼吸の練習をし、肺の機能を育みます。
羊水が少ないことで十分に羊水を飲むことができず、肺が十分に育たないことで肺の活動が低下し、命を脅かす危険性が出てくることも考えられます。
羊水過少の治療法はあるの?
基本的に様子を見ながら安静に過ごすことになります。もし、母体側の原因がハッキリしているのであれば積極的にその治療を行います。
赤ちゃん側に原因がある場合、予後が悪いことがありますが、無事に生まれてくることもあります。主治医としっかり話し、最適な状態で過ごすようにしましょう。
妊娠初期から妊娠中期の時期は、基本的には自宅安静となります。状況により仕事を休む必要があります。また、入院管理を必要とする場合もあります。
しかし、自宅療養でも入院でも臍帯血流を少しでも良くするために、横向きで休み、水分をしっかりとることが基本となっています。
妊娠後期以降は、必要に応じて入院をし、赤ちゃんの状態を注意深く観察して出産の時期や方法を決定します。赤ちゃんの状況によっては正期産でなくても、緊急分娩や緊急帝王切開を必要とする場合もあります。
人工羊水を注入という方法もありますが、現実的には赤ちゃんを傷つけずに注入する難しさや、実際注入しても予後が良かったという実証がないことから、この方法が取られることはあまりないようです。
また、タバコによって臍帯血流が悪化することがわかっているため、羊水が少ないと言われた際は、お母さんだけでなく、周囲の人も禁煙することが必要となってきます。
羊水過少の治療法はこれといったものはないため、お母さんはとても不安な日々を送ることになります。しかし、不安感はお母さんの体にストレスを与えてしまいあまりよくありません。
主治医の先生としっかり話をし、きちんと検診を受け赤ちゃんの様子をこまめに診てもらい、日本の産科医療を信じてゆったりとした気持ちで安静に過ごしましょう。
万が一、予定日より早い出産になったとしても、今の日本では赤ちゃんは無事に育つことができます。安心して出産に臨んでください。
まとめ
羊水の役割と羊水過少が及ぼす影響について(後編)
羊水過少がもたらす影響とは?
羊水過少の治療法はあるの?