お腹の中の赤ちゃんを取り囲んでいる羊水にはいくつかの重要な役割があり、赤ちゃんの成長には必要不可欠なものです。
まずはその羊水の役割を理解し、羊水が通常よりも少なくなっている 羊水過少 が赤ちゃんに与える影響についてご紹介します。
羊水の役割と羊水過少が及ぼす影響について(前編)
羊水の役割とは?
羊水はお腹の中の赤ちゃんの環境の全てであり、必要不可欠なものです。通常、妊娠の週数が経つにつれ羊水量は増えていきます。
妊娠30~35週頃には羊水量は約800mlにまで達し、その後出産までに少し減少します。
羊水の役割は大きく3つあります。
まず1つめはクッションとしての役割です。お母さんが万が一転倒してしまった場合や、何らかの衝撃を受けた場合でも、赤ちゃんは羊水に包まれていることで衝撃から守られます。
2つめは運動の場として役割です。赤ちゃんは羊水の中に浮かんでおり、そこで手足の曲げ伸ばしや体を回転させ、自由に体を動かしています。この羊水での体の動きは赤ちゃんの筋肉や骨格を発達させるため、非常に重要です。
羊水に包まれているため、お母さんはお腹の中の赤ちゃんの動きを感じにくいですが、20週前後から徐々に感じてきます。
そして3つめは呼吸の練習としての役割で、羊水の最も重要な役割となります。お腹の中の赤ちゃんは羊水を飲んだり出したりすることで出生後の肺呼吸の練習をしています。
羊水は肺まで取り込まれた後、血液に取り込まれ、尿として排出されます。
妊娠中期以降は羊水のほとんどが赤ちゃんの尿で成り立っています。老廃物は臍帯を通じて母体に送られているため、その羊水を飲んでも問題はありません。
羊水過少とは?
羊水は妊娠初期の頃は少ないものの、週数が経つにつれ増えていきます。しかし、妊娠中期を過ぎて羊水量が100ml以下である場合「羊水過少」と診断されます。
実際、妊娠後期前後の妊婦健診で羊水過少が発覚することが多いようです。
羊水量は週数毎に目安量がありますが、それより「やや少ない」程度であれば心配しすぎる必要はありません。
主治医に「羊水量がやや少ない」と言われただけで、その他、特に何も言われないようであれば神経質になりすぎず穏やかに過ごすことが重要です。
羊水過少の原因は、なに?
羊水過少の最も多い原因は出産前に破水してしまう前期破水です。
徐々に羊水が漏れ出ていることも多く、尿漏れと思い込み前期破水に気付かずに過ごし、その結果、羊水が少なくなっていたということもあります。
また、妊娠中期に多い羊水過少の原因は、赤ちゃん側にある問題です。赤ちゃんの腎臓や尿路に先天性の異常があり、尿の産生や排出が上手くできない場合です。
妊娠中期以降の羊水は主に赤ちゃんの尿でできているため、尿量が少ないと羊水も少なくなります。
その他の原因としてあげられるのはお母さん側の原因による胎盤機能の低下や、立ち仕事が多いなどで臍帯の血流が悪くなることです。
これにより赤ちゃんに充分な栄養や酸素が届かず、赤ちゃんの元気がなくなると尿が十分に作られず尿量が減少してしまいます。
また、お母さんが飲んだ薬が影響する場合もあります。しかし、さまざまな検査をしても原因が全くわからないことも多くあります。
後編では、羊水過少がもたらす胎児への影響や治療法についてご紹介します。
まとめ
羊水の役割と羊水過少が及ぼす影響について(前編)
羊水の役割とは?
羊水過少とは?
羊水過少の原因は、なに?