妊娠中のみなさん、出生前診断を検討されたことがありますか?出生前診断とは、お腹の中の赤ちゃんが健常児であるのか、遺伝子的異常の有無について調べる検査です。
最近は、新型出生前診断で精度の高い検査を受けることができますが、それでも確定診断には羊水検査が多く用いられます。あなたは 羊水 検査 についてどのくらいご存知ですか?
受ける?受けない?羊水検査について知ろう
羊水検査とは
羊水検査とは、妊婦さんの子宮に細い針を刺して羊水を取り出し、そこに含まれている赤ちゃんの細胞から染色体を調べる検査です。妊娠15週位から検査が可能で、胎児が大きくなり始めるとできない為18週くらいまでに行われます。
通常最初から羊水検査を受けるのではなく、まず血液検査(母体血清マーカーテストやクワトロテスト)をし、異常がある確率が高い場合羊水検査に進むケースが多いです。
しかし高齢出産と言われる35歳からダウン症候群の確率が上がってくる為、最近は高齢出産を理由に医師から羊水検査を勧められる場合が多いようです。また、親族に遺伝子異常による疾患のある人がいる、障害児の出産経験がある妊婦さんも羊水検査を検討します。
大体100人に1人位の割合で受けていますが、日本ではまだそれほど一般的な検査ではありません。検査は希望者のみが受けることができ、費用は自由診療になります。病院によって費用は変わってきますが、大抵10万円前後のところが多いです。
羊水検査の方法、リスク
エコーで子宮内を見ながら、赤ちゃんに当たらないように安全な位置を見つけてお腹に針を刺して羊水を取り出します。 針を刺すと言っても、通常は筋肉注射程度の痛みですが、人によって感じ方は様々であるため、局所麻酔をする場合があります。
採取後は、しばらくそのまま病院で安静にした後、羊水が外に流れ出すような症状がなく、お腹に張りなどの異常がなければ帰宅します。
羊水検査は、まれに、細菌感染や流産、死産を招くことがある為、しばらくの間抗生物質や張り止めなどを飲んで安静にします。無理も禁物です。これらのことから、羊水検査は母子ともに負担のある検査だということを認識しておきましょう。
羊水検査でわかること
羊水の中には、胎児の皮膚や粘膜などの細胞が混じっています。羊水検査では、赤ちゃんの細胞から染色体の数や構造の異常を調べることができます。
通常の人は46本の染色体があり、その内訳は父母から1本ずつもらった2本1組の常染色体が22組44本(1番~22番)、そこに性別を決める性染色体が1組2本です。
しかし染色体に異常があると、本来2本で構成される1組が1本だけであったり(モノソミー)、逆に3本だったり(トリソミー)、また形状に異常があったりするのです。
染色体異常の例として、21番目の常染色体が3本1組になる21トリソミー(ダウン症候群)があげられます。他に、13トリソミーや18トリソミーがありますが、この場合は流産するか、生まれたとしても重障害で寿命が短くなってしまうことが多いです。
性染色体の異常には、男児のクラインフェルター症候群や女児のターナー症候群があげられます。これらのほかに、神経管奇形の有無を調べることができます。神経管に異常がある場合、水頭症や無脳症を引き起こすことがあります。
受けるか、受けないか
高齢出産やハイリスク出産が増えている昨今、多くのカップルにとって羊水検査を受けるか受けないかはとても難しい選択です。というのも、仮に検査結果が陽性であった場合、堕胎するかしないかという選択に関わってくるからです。
これは羊水検査によって倫理的な問題に直面する可能性を示唆しています。ちなみに日本では妊娠21週6日まで中絶手術を受けることが可能です。赤ちゃんの染色体に異常があってもなくても産んで育てる覚悟をしている人には、この検査は必要ないとも言えます。
一方で、障害児を育てるということ、しかも幼いうちに亡くす可能性もあるということは、親子にとって相当な苦労を伴う可能性があることは無視できません。
もし、現在羊水検査を受けるのかどうか悩んでいるなら、子供を持ち育てるということについて、再度夫婦で話し合う必要があると言えるでしょう。その上で、後悔なく決断できるといいですね。
まとめ
受ける?受けない?羊水検査について知ろう
羊水検査とは
羊水検査の方法、リスク
羊水検査でわかること
受けるか、受けないか