『低置胎盤』は『前置胎盤』と同様に胎盤の付着する場所の異常で、共にハイリスク妊娠となります。自覚症状は出血以外はなく、定期の妊婦健診で発覚することがほとんどです。
『低置胎盤』と『前置胎盤」の違いを理解した上で、 低置胎盤 とはどのような状態かを理解しましょう。
ハイリスク妊娠の1つ、低置胎盤とは何?
低置胎盤とは
胎盤は通常子宮の天井付近に付着しています。しかし、低置胎盤では胎盤が正しい位置に付着せず、通常よりも子宮口に近い場所、内子宮口までの距離が2cm以内の場所に付着しています。
低置胎盤と似た言葉で『前置胎盤』があります。これは赤ちゃんの出口である子宮口に胎盤がかかっていたり、覆っている状態をいい、低置胎盤とは区別されます。
低置胎盤も前置胎盤も『ハイリスク妊娠』となりますが、低置胎盤は前置胎盤ほどリスクは高くありません。また、妊娠期間のうち比較的早い段階で低置胎盤と診断された場合でも、妊娠が進み子宮が大きくなるにつれ胎盤の位置が上がり自然と治ることもあります。
症状
妊娠中、出血がある場合もありますが、基本的には痛みなどの症状はなく、妊婦健診の際に超音波検査で発覚することがほとんどです。
胎盤の端が子宮口に近いほど、分娩時の出血量が多くなり、子宮口からの距離が0~2cmに胎盤が付着している場合、それ以上離れた場所に付着している場合と比べると1.5倍の出血量になるとされています。
また、胎盤が下の方にあるため、赤ちゃんが出てくる際に進行の妨げとなり、分娩に時間がかかる場合や帝王切開となる場合があります。
原因
低置胎盤は胎盤が付着する場所の異常とされていますが、現在のところはっきりとした原因は分かっていません。しかし、手術などにより子宮内膜が傷ついている場合や炎症が生じている場合に低置胎盤となる可能性が高いと考えられています。
その他に、経産婦、帝王切開の既往、多胎妊娠、高齢妊娠、喫煙、流産手術・人工妊娠中絶などの子宮に関する手術の既往などが低置胎盤の原因となる可能性があると考えられています。
近年、妊産婦の高齢化や、不妊治療の普及、帝王切開での分娩の増加などの影響で、低置胎盤の頻度も増加傾向にあります。
低置胎盤のリスク
低置胎盤の最大のリスクは『出血』です。妊娠中から分娩までの期間、大量出血の可能性があり、お母さんだけでなく赤ちゃんの命にも関わる危険性が出てきます。母子の状況に応じて帝王切開となる場合も少なくありません。
また、胎盤が子宮に癒着してしまい、出産後も子宮内に胎盤が排出されずに残る「癒着胎盤」などの合併症を引き起こすこともあります。特に帝王切開での分娩となった場合、発症率が上昇する傾向にあります。
治療法
低置胎盤を治す治療法はありません。低置胎盤と診断されたら、出血が起きないように無理な運動などは控え、安静に過ごすことが基本となります。
出血が起きた場合は、通常、入院管理となり子宮の収縮を抑える薬剤や出血を止める薬剤を使用し、赤ちゃんが外の世界でも難なく生きていけるようになる時期まで妊娠を継続できるよう処置が施されます。
しかし、赤ちゃんの状態とお母さんの状態によっては緊急帝王切開となり、早めの分娩となることもあります。また、出血が止まらず危険と判断された場合には、子宮を摘出する場合もあります。
低置胎盤と診断されたら、とても不安になると思います。しかし、とにかく無理をせず安静に過ごし、たとえ出血した場合でも、焦らず落ち着いて病院に連絡をし、指示に従ってください。
状態によって、対処の方法は異なります。医師としっかり相談し、信頼し、安心した状態で出産に臨んでください。
まとめ
ハイリスク妊娠の1つ、低置胎盤とは何?
低置胎盤とは
症状
原因
低置胎盤のリスク
治療法