胎児は受精卵になった直後から分裂を繰り返し胚になります。胚の細胞数は数百個ですが成長を続けて出産時には数十兆になるといわれています。
人間の一生のうちで最大の速さで成長する胎児期の 胎児の成長 について詳しく解説します。
妊娠期間別にみる胎児の成長
人間の形が形成される胎芽期
受精卵が子宮内に着床してから2週間程度で胎児は超音波検査で形がわかる大きさまで成長しています。しかし、妊娠8週までは人間として区別できる形ではないため胎芽とよびます。
妊娠8週を過ぎると人間の形が形成され胎児とよばれるようになります。妊娠8週のころの胎児の重さは5グラム程度で、身長は3センチ程度です。
ほとんどの器官が完成する妊娠15週頃の胎児
妊娠15週になると胎盤が完成している時期です。胎児の心臓も活発に動き出し血液の循環も順調に始まります。頭と胴、手と足の区別がつくようになり目と耳と口もできあがってきます。目はまぶたが形成されて、目を閉じた状態になっているはずです。
胎児の体重は約120グラムで身長は約16センチです。男女の生殖器も完成してくるため、超音波検査で性別を確認することができます。このころには体のほとんどの器官が完成し始めるとともに、薬の影響を受けやすい時期でもあります。
母体は妊娠8週頃からつわりの症状がでるため、つわりの症状があって妊娠の可能性がある場合は薬の服用やレントゲン検査などの放射線を避けるようにしましょう。
筋肉が発達し、お腹の中で動き始める妊娠27週頃の胎児
妊娠27週になると髪の毛や爪がしっかり生えてきます。皮膚には産毛が映えています。胎児は卵膜の中の羊水に浮かんでいますが、筋肉が発達しはじめお腹の中で活発に動いているため、胎動として胎児の動きを感じることができるはずです。
胎児の体重が急激に増える時期でもあるので、母体は十分な栄養を必要とし貧血に注意が必要な時期です。胎動を感じ始めたころになると胎児の聴覚も完成しています。そのため母体に与えた刺激に対して胎児の反応が胎動になって確かめられることができます。
そのため、胎児の情操教育や知能の向上を目的として胎児教育を開始する人もいます。しかし、胎児の大脳は未熟なため胎児が好き嫌いを判断して行動しているわけではありません。胎児教育に力を入れるよりも、胎児をよりよい環境の中で正しく成長させることが重要です。
胎児に生活リズムができる時期です。胎児は20分間隔で寝たり起きたりを繰り返しています。また胎児は肺呼吸に備えて、肺の中に羊水を吸い込んでは吐き出して呼吸の練習を始めるころです。妊娠27週頃の体重は1,100グラムから1,300グラム、身長は37センチから39センチです。
肺が発達し皮下脂肪がつく妊娠39週頃の胎児の成長
妊娠39週になると頭が大きく、身長の四分の一を占めています。体全体に皮下脂肪がつき丸みを帯びた体型に変化し、超音波検査でも赤ちゃんらしい姿を確認することができます。吸いつく力も強くなり母乳を吸うために唇の筋肉も発達しています。
脳の発達も著しく、脳にしわができ始め超音波検査では眼球が動いていることを確認することができるでしょう。また、脳の発達と連動して指先を細かく動かすようになります。指しゃぶりや握ったり開いたりの動作を確認することで脳と神経の発達を確認することができるのです。
自分の意思で体を動かすことができるようになっているため、当初は逆子であっても出産までには頭が下になるように動くことが多いのです。
出産間近になると胎動はおさまり、母体の骨盤に頭を固定しはじめます。出産直後に高い声で泣くことができるまでに肺は発達し、鼻の穴も貫通して肺呼吸に備え始めるのです。体重は2,900グラムから3,400グラムで、身長は49センチから51センチくらいになっています。
まとめ
妊娠期間別にみる胎児の成長
人間の形が形成される胎芽期
ほとんどの器官が完成する妊娠15週頃の胎児
筋肉が発達し、お腹の中で動き始める妊娠27週頃の胎児
肺が発達し皮下脂肪がつく妊娠39週頃の胎児の成長