胎児 の 心拍 は、胎児の正常な発達を知るための重要なヒントになります。妊娠6週目ごろに心拍が確認できたら正常な妊娠と判断されますが、出産を無事終えるまで心拍から読み取れる情報はたくさんあります。
今回は心拍から読み取れる異常と対処方法についてお話しします。
胎児の心拍からわかる異常と対処方法
一度確認できた心拍がなくなった
妊娠すると胎児は最初に心臓の形成を始めるのです。妊娠7週目ごろには心臓はほとんど完成し、産院でも心拍の確認をします。心拍の確認ができると流産の可能性は著しく低くなります。
心拍と心音は異なり、心拍とは胎児の心臓の動きのことを指し、心音とは心臓が動くときの音を指します。心拍は7週目ごろに病院でエコーを使って確認し、心音は心臓の動きがさらに活発になる妊娠12週目以降になるとドップラーという機械で確認するでしょう。
妊娠初期の心拍の確認は非常に重要です。もしも妊娠6週目の検診で心拍の確認が取れない場合には、1週間後に再診するように指示されるはずです。心拍の確認には個人差があります。一度の診察で心拍が確認できなかったとしても慌てずに次の診察を待ちましょう。
ただ、一度確認できた心拍が消えた時には異常が起きていると考えます。とくに妊娠9週目以降に心拍が消えた場合は繋留流産の可能性が考えられます。
繋留流産と診断された場合は「胎芽として子宮内にいるのですが心拍はない状態」を指します。対処方法としては待機的管理と手術があります。
待機的管理とは、自然に胎嚢が排出されるときを待つことです。どちらの対処方法を選ぶかは妊娠週数や生活によって変わるため、担当医と相談して決めることをおすすめします。
心拍が正常値よりも少ない場合
妊娠後期になると、検診時にノンストレステストを実施します。ノンストレステストとは胎児の心臓の拍動の強さと数、リズムから胎児が元気かどうかを推定する検査です。心臓の拍動の様子を連続的に記録して、その変動が異常なパターンかどうかを診ます。
ノンストレステストは、予定日を過ぎても陣痛がこなかったり、胎児の発育が不十分であったりしたときにも行われます。検査は30分程度母体の腹部にセンサーを取り付けます。ノンストレステストで胎児の徐脈や不整脈の診断も可能です。
健康な胎児の心拍数は1分間に120回から160回です。しかし、1分間に100回未満の場合は徐脈の可能性があります。徐脈は出産間近になり陣痛が起きると一時的に起こることがあります。陣痛が治まると徐脈が治るならば心配はいりません。
ただ、陣痛とは関係ない徐脈で胎児が弱ってくるようであれば必要に応じて帝王切開になることもあります。胎児の心拍は、動きが激しい胎児ほど正確な心拍を測ることが難しいのです。そのため、一時的に心拍が多すぎたり少なすぎたりしたとしても不安にならないようにしましょう。
心拍が正常値よりも多い場合
ノンストレステストで心拍が1分間に200回以上になることもあります。心拍が多すぎると心臓病であるという説もありますが、胎児に先天性の心臓病がある場合は妊娠中期にはわかるはずです。
妊娠後期にノンストレステストで心拍が多い場合には一時的であることがほとんどなので心配はないでしょう。ただ心拍が多い状態が続く場合には胎児頻脈性不整脈の可能性があります。
自然治癒することもありますが、悪化すると危険になることもあるので早期発見で治療を進める必要があります。胎児の心拍で性別がわかるという説もありますが、医学的な根拠はありません。
またダウン症は心疾患を持っていることが多いため、心拍の異常をダウン症と結びつけて考える人もいますが、ダウン症の診断はクワトロテストや羊水の検査で実施されています。
まとめ
胎児の心拍からわかる異常と対処方法
一度確認できた心拍がなくなった
心拍が正常値よりも少ない場合
心拍が正常値よりも多い場合