赤ちゃんが育つうえでなくてはならないのが「 胎盤 」です。赤ちゃんを産んだ後にこの胎盤を出すまでが「出産」となります。ではその胎盤は具体的にどのような役割を持っているのでしょうか?そしていつ作られるのでしょうか。
胎盤って何?赤ちゃんを支える胎盤の役割とは
胎盤とは何か
胎盤は、子宮の中で赤ちゃんに栄養や酸素を送り込む重要な臓器です。その形は、完成すると直径約20cm、厚さは2~3cm、重さは500~600gあります。
赤ちゃんが誕生した30分程度後に、後陣痛という軽い陣痛が起こって子宮から剥がれ落ちて排出されることで役割が完全に終わるのです。
赤ちゃんが健康で元気な場合、張りも厚みもしっかりあるのですが、発育不全の赤ちゃんの胎盤ならやはり不完全で小さかったり薄かったり、硬かったり、石灰化していたりするようです。ではこの胎盤はどのような過程でできるのでしょうか。
胎盤が成長するまでの過程
精子と卵子が受精卵を作り、その受精卵が子宮に着床すると、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌され始めます。すると絨毛ができ始め、やがて子宮の一部が厚くなり始めます。最終的に、厚くなった子宮の一部にくぼみができ、胎盤が完成します。
胎盤は絨毛が密生した血管の集まりなのです。胎盤の形成は妊娠直後に始まり、およそ妊娠14週から16週頃に完成して安定期に入るといわれています。
胎盤には臍帯がつき、ここで母体と繋がっています。母体側からは子宮静脈、子宮動脈という血管が、胎児側からは臍動脈2本と臍静脈1本が出て胎盤に繋がるのです。
胎盤が完成した際の役割とは
胎盤ができる前は、母体の血液中の物質はそのまま胎児に移動してしまいます。ですが、胎盤ができればフィルターの役割をしてくれるので、分子量が大きいものは胎児に移動しないようになります。
胎盤を介して母体の血液から酸素や栄養分を吸収し、二酸化炭素や老廃物を母体へと排出します。
しかし、薬、ニコチン、アルコール類は分子が小さいためこのフィルター機能は使うことができません。ですから薬は医師と相談をする必要がありますし、タバコやアルコールは絶対に止めなければなりません。
また、胎盤はホルモンを分泌する臓器でもあります。妊娠の維持、胎児の成長を促すものなどさまざまです。胎盤が完成すると、「安定期」という妊娠中期に入ります。
しかし、中期から後期にかけて胎児とともに胎盤は急成長していきます。注意を怠ることなく、胎盤の状態を良質なものに維持できるようにしましょう。胎盤が成長しなければ、胎児も大きくなれないと心に留めておきましょう。
なお、胎盤にも寿命があります。妊娠42週になる頃から衰えて十分な酸素や栄養を送れなくなると考えられています。この頃になっても陣痛が起きなければ、陣痛促進剤を使ったり、帝王切開をしたりする必要があります。
良い胎盤を作るにはどうすればよいのか
胎盤の状態は妊婦の健康と比例します。特に、むくみや高血圧、蛋白尿が発生する妊娠中毒症になってしまうと胎盤機能が低下してしまいます。そうすると子宮内の胎児に栄養が届きづらくなったり、本来フィルター機能で排除されるはずの悪い物質が運ばれたりしてしまいます。
体重管理を怠らないこと、食生活に注意すること、ストレスを溜めすぎないことなども重要です。妊娠中毒症にならないまでも、血液の状態を良質に保つことが必要です。
サラサラの血液を作るには、ビタミンEを積極的に摂ると良いでしょう。大豆や豆腐などの豆類、緑黄色野菜、タラコやサケなどに含まれていますから、日々の食生活に積極的に取り入れていきましょう。
胎盤に関する異常とは
胎盤に関する異常には大きく分けて2つあります。
まず、胎盤が子宮の出口にかかるようにできてしまう「前置胎盤」というものです。子宮が大きくなるにつれて上部の正常な位置に変化していく場合もありますので、妊婦健診で経過を見ながら帝王切開になるかどうかを判断していきます。
次に「常位胎盤早期剥離」というものがあります。胎盤の位置が正常なのに、突然胎盤の一部が剥がれ落ちる病気です。そうすると胎児へ酸素も栄養も届かなくなりますし、母子ともに命にかかわる状態になります。これは予測がつきにくい病のため、異常や疑問を感じたらすぐに受診しましょう。
まとめ
胎盤って何?赤ちゃんを支える胎盤の役割とは
胎盤とは何か
胎盤が成長するまでの過程
胎盤が完成した際の役割とは
良い胎盤を作るにはどうすればよいのか
胎盤に関する異常とは