子宮筋腫はホルモンの影響が大きい病気のため、妊娠を希望する30代から50代の成熟期の女性に多くみられる病気です。 子宮筋腫 の 大きさ はさまざまで、症状にも個人差が大きい特徴があります。
今回は、子宮筋腫の症状と進歩している治療方法を解説します。
子宮筋腫のさまざまな大きさと進歩している治療方法
代表的な症状は不正出血
子宮筋腫のほとんどは、子宮体部に発生するといわれています。子宮筋腫は婦人科を受診する10%程度に認められ、35歳以上になると20%程度に筋腫が認められるのです。
40代が一番発症しやすい年代といわれていますが、閉経後は退縮し小さくなることが多いでしょう。子宮筋腫の主な症状は、生理の量が多くなり期間が長くなることです。
また、生理が頻発したり、不正出血をしたりすることもあります。しかし、中には全く症状がなく偶然に子宮がん検診で発見されることも多いのです。
症状の程度や種類は、子宮筋腫の発生部位や大きさによって異なります。
例えば、子宮の内側で発生する粘膜下筋腫は、筋腫の大きさが同じでも漿膜下や筋層内筋腫と比較して、出血量は多いのです。子宮筋腫が大きくなると、まわりの臓器を圧迫し靭帯が引っ張られるため、腰痛や牽引痛を引き起こします。
とくに子宮筋腫が靭帯内に発生した場合やまわりの臓器と癒着した場合には、症状が強くあらわれるのです。また、子宮頚部に子宮筋腫ができたときには、子宮体部にできたときと比べて頻尿の症状がでることがあります。
子宮筋腫の検査と診断
子宮を診断し、子宮が大きくなっていて固い腫瘍があるときには子宮筋腫を疑います。内診だけでは粘膜下筋腫は発見が難しいため、画像診断に加えて子宮卵管造影や子宮鏡の検査をすることもあるでしょう。
とくに注意すべき症状は、不正出血です。不正出血を伴っている場合には、子宮体がんの可能性も考えられます。必ず子宮内膜の細胞と組織検査を受けるようにしましょう。生理痛がひどいときには、子宮内膜症や子宮腺筋症を同時に発症しているとも考えられます。
子宮腺筋症は30代に多く発症する傾向があるのです。不正出血の量が多い場合には子宮腺筋症の併発を疑い、内診に加えて超音波検査やMRIによる画像検査が行われることもあるでしょう。
手術治療になる大きさの目安は「こぶし大」
子宮筋腫と診断されたからといって、すぐに手術が行われるわけではありません。大きさが小さくて症状がないときには、定期的な検診のみで様子をみることになります。治療が必要と判断される大きさは、こぶし大以上になっているときです。
また、まわりの臓器を圧迫してさまざまな症状が出ているときには治療が必要になります。
こぶし大よりも大きい時には、手術による治療になります。子宮筋腫の手術方法は、基本的に子宮全摘術です。妊娠の希望者や年齢が若い人は、筋腫核出術で子宮を残す処置も検討されます。
しかし、筋腫核出術をするためには条件が整っている必要があるのです。そのため、妊娠を希望していたとしても場合によっては、子宮を摘出しなければならないこともあります。
筋腫核出術は、子宮を残すことができますが子宮全摘術と比べると、術後にまわりの臓器と癒着したり、子宮筋腫が再発したりすることがあるのです。手術のための入院期間は、合併症や併発症がなければ、手術前3日間と術後2週間が必要でしょう。
以前は子宮筋腫の手術といえば子宮全摘術か筋腫核出術が一般的でした。しかし最近は、筋腫核出術と同様に条件はありますが、子宮動脈塞栓法や子宮膣上部切断術などの新たな治療法が行われています。担当医と相談し、希望の治療方法をみつけてください。
まとめ
子宮筋腫症状と大きさ別にみる治療方法
代表的な症状は不正出血
子宮筋腫の検査と診断
手術治療になる大きさの目安は「こぶし大」