子宮 底長 という言葉は、一般的にはあまり耳にする機会のない言葉で、妊娠し妊婦健診を受けて初めて耳にした人も多いと思います。
妊婦健診のたびに計測され、母子手帳にも記入される数値の1つですが、実際にどういった数値なのかを理解している人は少ないかもしれません。どういった数値なのか、何のために測っているのかを知っておきたいと思います。
子宮底長について知っておこう
妊婦健診とは
妊婦健診はお腹の中で赤ちゃんが順調に育っているか、母親の健康状態に問題はないかをチェックするためのもので、妊娠中は必ず受けるとされている定期健診です。
健診の基本的なペースは、母子手帳が交付されてから妊娠23週までは4週間に1回、24~35週までは2週間に1回、36週~出産までは1週間に1回です。
毎回行う検査は、体重・血圧測定、尿検査、腹囲・子宮底長の測定、脚の浮腫検査で、妊娠時期に応じて超音波検査や内診による赤ちゃんの大きさ、位置、心音の確認をします。また初期、中期、後期にそれぞれ1回ずつ血液検査が行われます。
子宮底長とは
子宮底長は、妊娠中期以降の妊婦検診で毎回計測されます。子宮の膨らみの数値のことで、恥骨の結合部分の上端から子宮の最上部までの長さを測ります。
仰向けになった状態で医師や看護師がメジャーを使って測りますが、その際に膝を曲げた状態で計測する今井の方法と、膝を伸ばした状態で計測する安藤の方法という2種類の方法があります。
子宮底長を測ることで、赤ちゃんが順調に発育しているか、羊水の量が正常であるかを知ることができます。ただ、人の手によって測られるものであるため、測る人によっても妊婦の体型によっても多少の誤差が生じることもあります。
そのため、子宮底長は目安として用いられ、赤ちゃんの正確な大きさは超音波検査で計測されます。また、子宮底長を測ることで妊婦が太りすぎていないかを確認することもできます。
子宮底長の目安
子宮底長の目安は妊娠19週目までは、妊娠月数×3cm、20週目以降は、妊娠月数×3+3cmで計算できます。この数式に当てはめると、妊娠16~19週では10~15cm、妊娠20~24週では15~20cm、妊娠24~27週では20~24cm、妊娠28~31週では24~28cm、妊娠32~35週では28~32cm、妊娠36~39週では32~34cmが目安となります。
ただ、臨月になり出産が近づくと子宮が柔らかくなり、赤ちゃんが子宮の下の方に下がってくるので、子宮底長の数値が2、3cm短くなることもあります。
子宮底長が短い場合
子宮底長が短い場合に考えられることは、赤ちゃんが小さいということと赤ちゃんを包んでいる羊水が少ないといったことです。
超音波検査がなかった時代は子宮底長から赤ちゃんの状態を把握していましたが、現在は超音波検査で詳細に赤ちゃんの発育状況や子宮内の状態を知ることができるため、子宮底長は目安程度として用いられます。
子宮底長が短い場合は、より注意を払って超音波検査が行われますが、個人差や誤差もあるため、子宮底が短い場合でも超音波検査で特に医師から問題を指摘されなければあまり心配する必要がありません。
ただ、赤ちゃんの成長が妨げられる原因としては、飲酒、喫煙によって血流が悪くなって赤ちゃんへの栄養や酸素が減少している場合、妊娠高血圧症によって赤ちゃんに栄養がうまく移行しなくなっている場合もあるので、そういった原因がないかどうかはチェックする必要があります。
子宮底長が長い場合
子宮底長が長い場合に考えられることは、赤ちゃんが巨大児であること、羊水過多であること、前置胎盤であるといったことです。羊水過多は赤ちゃんを守る羊水量が多い状態で、子宮収縮が起こって早産を招くことがあります。
前置胎盤は胎盤が通常よりも低い位置にあり、子宮口を塞いでしまっている状態です。大量出血が起こることがあり、流産や死産の危険があります。ただ、子宮底長が長い場合にも子宮底長が短い場合と同様で、超音波検査で特に異常を指摘されなければ心配する必要はありません。
まとめ
子宮底長について知っておこう
妊婦健診とは
子宮底長とは
子宮底長の目安
子宮底長が短い場合
子宮底長が長い場合