子宮頚管とは子宮と膣を結ぶ管のことで、赤ちゃんの産道となる部分です。通常の子宮頚管は閉じた状態で、おなかの赤ちゃんが外に出ないようにする役割をしていますが、臨月に入ると次第に管の長さが短く縮み、上下の口が開いてきます。
管の口が完全に開いた状態になるといよいよ赤ちゃんが生まれてきます。しかしこの子宮頚管の長さが、もともと短かったり、臨月でもないのに口が開いてくると切迫早産の可能性があり、絶対安静や薬の投与で出産をできるだけ遅らせる治療が必要となります。
このように 子宮頸管 の長さと 切迫早産 には密接な関係がありますので、定期健診では必ず確認がおこなわれます。
切迫早産は子宮頚管の長さが重要です。
子宮頚管の長さ
臨月でない場合の子宮頚管の長さは通常40mmほどですが、臨月に近づくにつれ徐々に短くなり、最終的には25mmほどの長さになります。妊娠22週目から36週目の間に、子宮頚管の長さが30mm以下になってしまうと切迫早産だと診断されます。
子宮頚管が短くなってくると骨盤も開きはじめますので、赤ちゃんの位置も下の方に下がってきます。妊娠中期の赤ちゃんは胃のすぐ下にいるので、通常は内臓が圧迫され一度にたくさん食べることができなかったり、少し動くだけで息が切れたりします。
しかし赤ちゃんが下がってくると食欲が出たり、息切れも落ち付いてくるので、まだ臨月ではないのにおながの膨らみが下がってきたら要注意です。
子宮頚管短縮の原因
子宮頚管が短縮する原因は大きく分けて三つあります。
一つ目は「絨毛膜羊膜炎」という細菌感染によるものです。もともと膣の中には複数の善玉菌や悪玉菌が存在していますが、病気の原因となる菌を防御する機能があるため、子宮まで届くことはありません。
しかし妊娠中は、抵抗力が弱くなるため防御しきれなくなり、細菌が子宮まで到達し炎症をおこしてしまうことがあります。これが「絨毛膜羊膜炎」です。
「絨毛膜羊膜炎」になると赤ちゃんが入っている卵膜が弱くなり破れて破水したり、細菌の中に含まれる炎症を起こす物質が、子宮短縮させる別の物質を作り出し、子宮頚管が短くなっていきます。
二つ目は「子宮頚管無力症」という病気です。これは本来閉じているはずの子宮頚管が子宮収縮に関係なく開いてしまう症状で、まだ外に出る段階ではない赤ちゃんが出てきてしまいます。
「子宮頚管無力症」は、体質的に子宮頚部の力が弱いことの要因が大きく、一度妊娠中に経験した人は、次の妊娠でも起こる可能性が高くなります。
もう一つは、お母さんの動きすぎが原因となることがあります。長時間の立ちっぱなしや、動き回っていると、おなかが張りやすくなります。おなかの張るのは子宮が収縮しているためで、通常は少しすると元に戻ります。しかし、あまり頻繁に収縮が起こると徐々に子宮頚管が短くなります。
子宮頚管の手術
子宮頸管無力症の場合、入院して点滴や錠剤で子宮頚管の収縮を抑える薬を投与し、食事とトイレ以外は寝たきりの状態ですごしても、症状が治まらない場合があります。その場合、最終手段として子宮口を縛る手術を行います。
「子宮頸管縫縮術」という手術は、子宮口をテープ状の糸で縛る簡単なもので、子宮頚管の真ん中辺りを縛るシロッカー手術と、子宮頚管の出口辺りを縛るマクドナルド手術の二通りあります。
通常術後は2~3日で退院することができ、無理をしなければ普段通りの生活を送ることができます。縛った糸は、臨月に入り、出産しても良い状態になった時に抜糸します。
この手術の効果はかなり高いものになっていますが、手術の刺激が早産を促してしまうこともあるため、手術をおこなうのは妊娠26週目までが限界だといわれています。
まとめ
切迫早産は子宮頚管の長さが重要です
子宮頚管の長さ
子宮頚管短縮の原因
切迫早産は防げます