生理痛は、子宮頸管の中を月経血が通るときに起こる子宮収縮や充血によって引き起こされます。ほとんどの生理痛は妊娠に影響はありませんが、なかには器質的原因があり妊娠に影響を与えるものもあります。
今回は、 生理痛 と 妊娠 の関係についてお話しします。
生理痛が強い人の妊娠への影響とその理由
心理的原因による生理痛
卵巣や子宮に異常がないにも関わらず生理痛が強いことを機能性月経困難症といいます。腹痛、頭痛、吐き気など全身症状があらわれます。妊娠に関係ある器官には異常がないため、妊娠に影響は与えません。
しかし、心理的な要因が強く影響して生理痛をひどくしている傾向があります。とくに、生理は汚いもの、面倒なもの、痛いものなどよくないイメージを持っている人は症状が重症化しやすいといわれています。生理は妊娠するために必要なものと考えるようにしましょう。
心理的原因で生理痛がひどい人は、早めに薬を使ってできるだけ気持ちよく過ごせるようにしたほうがいいでしょう。薬を使わずに痛みは我慢するものと考えてしまうと、症状を悪化させることになってしまいます。
器質的原因による生理痛
子宮筋腫や子宮内膜症などの骨盤の内側の器官に異常があることによって起こる生理痛を器質性月経困難症といいます。
または、続発性月経困難症ということもあります。子宮筋腫が原因の場合には、月経血の量が増え血の塊が出てくることもあるでしょう。生理痛はとてもひどくなりがちです。
子宮内膜症が原因の場合には、子宮内膜と同じ組織が子宮と直腸の境目や子宮筋層の内側、卵巣などで内出血を起こすため激しい疼痛が引き起こされます。
また、直腸の前壁の内側での出血が下部消化器官刺激するため下痢を起こしたり、発熱を誘発したりすることもあるのです。20代から30代の妊娠を希望する年代の女性が、しだいに悪化する生理痛に悩んでいる場合には骨盤内の異常や子宮筋腫、子宮内膜症の可能性も考えてみるといいでしょう。
生理痛がひどいときは子宮内膜症の可能性を疑う
生理痛がひどく悪化していくようであれば、子宮内膜症を疑い速やかに受診するようにしましょう。骨盤内の子宮内膜症では、生理以外の時でも生理痛の症状や排便のときに痛みを感じることもあります。子宮内膜症になると、不妊症になる率が上がるのです。
骨盤内子宮内膜症は、卵管や卵巣と癒着しやすいため癒着によって卵管が狭くなったり、閉鎖したりします。すると卵管は動きがさえぎられるため、卵巣から出された卵子を卵管内にとり入れることができなくなり、不妊症になるのです。
卵巣内に内膜症ができると生理の出血が少しずつ卵巣内にたまり、卵巣が大きくなります。卵巣内にたまった血液は色が変化して、チョコレーのような色に変わるため、チョコレート嚢腫とよばれるのです。
チョコレート嚢腫は、大きくなると破裂する可能性もあります。生理痛のような下腹部痛とは違い、突然激しい腹痛や吐き気、発熱となって症状があらわれるのです。
子宮内膜症の診断は、痛みやしこりの有無を確認し内診と直腸診断が行われます。治療方法は、薬物療法と手術療法がありますが薬物療法の場合には、治療中は生理が止まります。
手術療法の場合には、妊娠の希望に応じて手術方法は変わります。妊娠を希望する場合には、妊娠する能力を残すために保存手術を行うことになるでしょう。
手術方法は、開腹手術と腹腔鏡で行う2種類があります。開腹手術では、病巣の摘出と形成、癒着の剥離、子宮の位置をもとに戻すことを行うことになるのです。
腹腔鏡では、病巣を焼き癒着の剥離を行い、チョコレート嚢腫の摘出などを行います。子宮内膜症と似た名前で、子宮内膜炎がありますが子宮内膜症とは全く違う病気で細菌感染が原因の病気です。
まとめ
生理痛が強い人の妊娠への影響とその理由
心理的原因による生理痛
器質的原因による生理痛
生理痛がひどいときは子宮内膜症の可能性を疑う