お腹の中の赤ちゃんに「へその緒が巻きつく」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、これは『 臍帯巻絡 』とよばれる臍帯異常の1つです。
どの妊婦さんにも起こり得る、発生頻度の高い異常です。不安になりがちですが、多くの場合で普通分娩となるため心配しすぎずゆったりと過ごしましょう。
臍帯巻絡と診断されても焦らずゆったりとした気持ちで
臍帯巻絡とは
臍帯巻絡は臍帯、すなわち「へその緒」が赤ちゃんの身体に巻付いた状態をいいます。臍帯巻絡は臍帯異常の1つであり、全妊婦さんの約20~30%にみられる、発生頻度の高い異常です。
巻絡が生じる場所は頸部が80~90%とその大部分を占めますが、胴体や手足に生じる場合もあります。また、臍帯が巻いている回数は1回のことが多いですが、中には2回以上巻いている場合もあります。
赤ちゃんにへその緒が巻きついていると聞くと非常に不安になりますが、手足に巻きついている場合はすぐに取れることもあります。頸部に巻きついている場合でも、赤ちゃんが苦しいということはほどんどありません。
臍帯巻絡の原因
臍帯巻絡のはっきりとした原因は分かっていませんが、激しい胎動や長い臍帯が原因ではないかと考えられています。
実際に胎動が激しい赤ちゃんにおいて臍帯巻絡が多くみられます。元気に羊水の中を自由に動き回っているうちに、臍帯が身体に巻きついたりほどけたりを繰り返しているのです。
また、臍帯巻絡がみられる赤ちゃんの臍帯は比較的長い傾向にあり、臍帯が長いことも臍帯巻絡の原因の1つとして考えられます。しかし、臍帯の長さが元から長かったのか、巻きついて引っ張られたことによって伸びたのか、実際のところは分かりません。
臍帯巻絡が赤ちゃんに及ぼす影響
臍帯はお母さんから赤ちゃんへ胎盤を介して酸素や栄養を送っています。この赤ちゃんの命綱とも言うべき臍帯に異常が生じると、赤ちゃんは低酸素による仮死状態に陥ることや、場合によっては死に至ることもあります。
しかし、臍帯が巻いていても赤ちゃんは羊水に浮かんでおり、きつく締まることはないため、赤ちゃんが苦しむことはほとんどありません。また、自然に取れることもあります。
臍帯巻絡と診断されたら
臍帯巻絡は通常、妊婦健診の際のエコー検査で分かることがほとんどです。エコー検査では、臍帯が赤ちゃんのどの部分に巻きついているか、何回巻いているかなどが分かります。しかし、臍帯巻絡が判明したところで、外から何らかの方法で治すことはできません。
エコーでは、臍帯の血流の状態を確認することもできます。特に血流に問題なく、赤ちゃんの心拍等も正常であれば、そのまま妊娠を継続します。通常、1回巻いているのであれば、特に大きな心配をすることなく妊娠を継続でき、経膣分娩となります。
臍帯の巻いている回数が多く、血流も悪く、赤ちゃんの状態もあまり良くないと総合的に判断された場合は緊急で帝王切開となることもあります。
また、分娩の際に臍帯が巻いている場合は、すぐに臍帯から身体を抜く処置が施されます。しかし、きつく巻いていて容易に臍帯の巻きつきが取れず、その後の分娩に支障をきたす場合や、赤ちゃんの顔色が悪くなって来るような場合は、緊急で臍帯を切断する場合もあります。
臍帯巻絡と診断されるととても不安な気持ちになってしまいがちですが、医師もお母さんも特に何もできることはありません。普通に分娩に至ることが多いため、あまり心配し過ぎずに、ゆったりとした気持ちで出産の時を待つことが1番大切です。
もし、いつもと赤ちゃんの動きが違うように感じられた時は、念の為に受診するようにしましょう。
まとめ
臍帯巻絡と診断されても焦らずゆったりとした気持ちで
臍帯巻絡とは
臍帯巻絡の原因
臍帯巻絡が赤ちゃんに及ぼす影響
臍帯巻絡と診断されたら