流産は誰にでも起こる危険性があります。そのため、流産について知ることは、未然に流産を防ぐことにも繋がります。母体ができる小さな命を守る方法や、 流産 のときの 手術 の方法を把握しましょう。
誰にでも起こり得る流産。流産時の手術を把握しよう。
そもそも流産とは
妊娠22週未満(21週6日まで)の期間に妊娠が終了したものをさし、全妊娠の8~15%を占めるとされています。また、母体の年齢が上がるとともに、流産率は上がります。
自然流産
さまざまな病的原因のために、妊娠が終了した場合のことです。
人工流産
人工的に妊娠を終了させた場合のことです。
自然流産の原因
胎児側の因子
染色体異常(トリソミー、モノソミー、三倍体など)、遺伝子病、先天的形態異常、胎児付属物(胎盤、臍帯)の異常があげられます。
母体側の因子
子宮の異常(子宮奇形、頸管無力症、子宮筋腫など)、感染症(子宮内感染、細菌性膣症など)、内分泌異常(甲状腺機能異常、糖尿病、副腎機能異常、黄体機能不全など)、自己免疫疾患、染色体異常、その他(外傷、放射線被爆、薬物、精神疾患など)です。
男性側の因子
染色体異常です。
夫婦間の因子
血液型不適合(Rh型)です。
上記の通り原因は母体側、胎児側ともにさまざまですが、半数以上は胎児側の因子と考えられています。
一言で流産といっても、妊娠週数やその時の状態によって、分類されます。
妊娠持続期間による分類
化学的流産
血液中あるいは尿中hCG陽性のみで妊娠と診断されるものの、その後の超音波検査で胎嚢が確認されず、流産症状を伴うことなく月経の時の様な出血がみられた状態。体外受精後の経過中に診断されることが多いです。
早期流産
妊娠12週未満の流産。80%以上はこの早期流産です。
後期流産
妊娠12週以降22週未満の流産のことです。
子宮内容の状態による分類
完全流産
子宮内の妊娠内容物が完全に外に出された状態のことです。
不完全流産
子宮内の子宮内容物が一部残った状態のことです。
臨床的進行度による分類
切迫流産
少量の出血があるが、胎児や付属物はまだ排出されていなくて、正常妊娠への回復が可能な状態のことです。
稽留流産
胎芽あるいは胎児が子宮の中で死亡後、無症状で子宮内に停滞している状態のことです。
進行流産
胎児や付属物がまだ子宮の外に出されていないにもかかわらず、すでに子宮口が開いて子宮の出血も増えてしまい、妊娠の継続がもはや不可能な状態のことです。
臨床的形式による分類
感染流産
流産経過中に子宮内感染がおこった状態。これを放置してしまうと、敗血症に進展することがあり(敗血症性流産)、ショックや播種性血管内凝固になることもあります。
習慣流産
3回以上自然流産を繰り返した状態のことです。
流産手術の目的
流産手術は人工妊娠中絶も方法は同じです。この手術の目的は、絨毛組織を完全に取り除いて、また排卵ができるように促して次の妊娠に備えることです。
流産手術の流れ
手術の前日か当日の朝に、手術を行いやすくするためにラミナリア桿などを用いて、子宮頚部という子宮の入り口を広げる処置をします。手術当日は、全身麻酔中と術後の嘔吐による誤嚥を防ぐため絶飲絶食です。点滴で静脈麻酔をします。手術の時間は5~10分程度です。
手術はピンセットのような胎盤鉗子と耳かきのようなキュレットという器具で、子宮内の組織を取り除き、掻き出し終了です。終わりましたと声をかけられます。そこから、2時間程安静にすると意識も完全にはっきりします。日帰り手術を行っている施設もあります。
感染予防の抗生物質や子宮収縮剤が処方されます。1週間後に外来受診があって、そこで異常がなければ2週間から4週間程度で次の整理がくれば、終了となります。
まとめ
誰にでも起こり得る流産。流産時の手術を把握しよう。
そもそも流産とは
自然流産の原因
妊娠持続期間による分類
子宮内容の状態よる分類
臨床的進行度による分類
臨床的形式による分類
流産手術の目的
流産手術の目的