妊娠したと喜んだのも束の間、お腹の中にいる赤ちゃんの約15%近くは、妊娠22週に至らず、妊娠が終わってしまいます。いざ 流産 と診断された時、悲しみと不安でいっぱいになります。少しでも不安を取り除くため、どのような 手術 をし、どのくらい費用がかかるのか紹介します。
流産の診断から手術まで
流産の種類
流産には妊娠12週未満に流産する初期流産と、妊娠12週から22週未満に流産する中期流産があります。初期流産と中期流産では手術の方法が大きく異なります。また、手術をしないまま自然流産という形で赤ちゃんが排出されてしまう場合もあります。
初期流産の手術
初期流産に最も多い稽留流産(子宮内で胎児が死亡してしまっている状態)では、進行して腹痛や多量出血と共に胎児が外に出てきて、母体が危険な状態に陥ってしまうのを防ぐため、胎児を外に出す手術をする必要があります。
その手術を「子宮内容除去手術」といい、全身麻酔または局部麻酔にて、器具を使って子宮内の内容物を掻き出す掻爬手術を行います。麻酔をして手術を行うため、術中の痛みはなく、術後麻酔が切れた後に、生理痛のような痛みを伴うことがある程度です。
分娩が未経験の場合には、子宮口を拡げるために術前(麻酔前)にラミナリアやラミセルという子宮頚管を開く器具を挿入する方法もあり、挿入時に痛みを伴うこともあります。
手術時間は10~15分程度と短く、日帰り入院または1日入院で手術が行われることがほとんどです。術後3日程度は、安静にして過ごします。
中期流産の手術
中期流産になると、胎児がある程度成長していて、掻爬することが困難なため、人工的に陣痛を起こして、出産と同じ形を取ります。分娩が未経験の場合には、子宮口を拡げるため、ラミナリアやラミセルといった器具を挿入します。
段階的に子宮口を拡げた後、人工的に陣痛を起こす膣座薬を投与します。多くはその日のうちに陣痛が始まり、出産となります。最後に子宮内に残った胎盤などを掻爬手術します。
初期流産と違い、赤ちゃんが亡くなった心の痛みに加え、陣痛という痛みを伴い出産するため、とても過酷な経験といえます。術後(出産後)は、回復状況などを踏まえて、1~3日程度入院となります。
その間、子宮内をきれいにする子宮収縮剤や、母乳を止める張り止め、感染を防ぐ抗生物質などが投与されます。術後は通常の出産後と同様に、1ヶ月ほど安静にして過ごします。
手術の費用
初期流産の場合、治療行為にあたるため、健康保険が適用されます。しかし、人工中絶の場合は保険適用外となります。日帰り入院で、前処置等行わなかった場合、個人病院では2~3万円程度、総合病院ではその倍程度かかることもあります。また、1泊入院や前処置等行うと、10万円程度かかることもあります。
中期流産になると、通常分娩と同じ費用が発生します。また死亡届が必要となりますので、火葬・埋葬費用も必要となります。全て合わせると40~50万円前後かかりますが、経済的な理由による人工中絶以外は出産育児一時金(39~42万円)が支給されます。
その他に個人で医療保険等に加入している場合は、保険料が支払われることがあります。初期流産も中期流産も、手術の費用は治療方法や入院日数に加え、赤ちゃんの大きさや週数などにより異なります。詳しい費用は、必ず事前に病院に確認してください。
手術後の経過
術後の経過が良ければ、1~2ヶ月で生理が再開することがほとんどです。次の妊娠は母体へのダメージなどを考慮して、2~3回生理を見送った以降にすることが一般的です。
流産と診断されたら
流産と診断されても、決してご自身を責めないでください。流産の多くは防ぎようのない原因から起こります。妊娠週数が進めば進むほど、体への負担はもちろんのこと、心への負担は計り知れません。心的ストレスで後遺症に苦しむ人も少なくありません。
一人で苦しまず、パートナーや家族・友人のほか、担当医やカウンセラーなどに相談して、心のケアをしてください。同じような経験はたくさんいます。また新しい命を授かれるように、前向きに考えていくことが大切です。
まとめ
流産の診断から手術まで
流産の種類
初期流産の手術
中期流産の手術