小児が罹るとほっぺたがりんごのように真っ赤になるりんご病の名を一度は耳にしたことがあると思います。この りんご病 はおなかの 赤ちゃん に悪影響を及ぼす可能性があるので、とりわけ妊娠中の女性は注意が必要です。その注意点を含めてりんご病についてご紹介いたします。
りんご病がおなかの赤ちゃんに影響するって本当ですか
りんご病とはどんな病気
5~9歳頃の小児に好発するりんご病はパルボウイルス科エリスロウイルス属B19ウイルスに感染することが原因で発症する感染症です。診断名は伝染性紅斑ですが、小児が罹患するとほっぺたがりんごのように赤くなることからりんご病とも呼ばれています。
小児が感染すると10から20日の潜伏期間を経て頬がりんごのように真っ赤になり、その後手や足に発疹が出ます。この発疹は繰り返し出ることもあります。通常は数日間で自然に治ります。感染予防も難しく、現在のところワクチンも開発されていません。
小児の場合は頬が真っ赤になるという典型的な症状から診断が下る場合がほとんどで、受診すると対症療法的な薬が処方されます。
りんご病の何が厄介なのか
まず、その潜伏期間の長さです。小児の場合、頬が真っ赤になって発症に気づくまで10~20日の期間があります。その後発疹が出る頃には感染力はほとんどなくなっていると考えられています。
感染力のピークは発疹のでる一週間前頃ということで、ほとんどの場合感染に気づくことなく通常の生活を送っています。
また、症状が出る頃には感染力がほとんどないと考えられていることから、学校や幼稚園、保育所などでも登校・登園停止にはなっていません。
大人に感染した場合に頬が赤くなるりんご病を疑う独特の症状が出ないことが多いので、手や足の発疹や倦怠感を訴えて受診すると風疹と間違えられるということがあるようです。
りんご病を疑う大人の注意点
子どもが罹患したり周囲で患者が多かったりして、りんご病かもしれないと思ったらどのようなことに注意すればいいのでしょうか。
何より大切なのは風疹と区別することです。病院を受診する際にりんご病の可能性を疑っていることを伝えると、血清中のウイルス遺伝子を検出する検査などを受けることができます。
風疹であるかりんご病であるかによって受ける対症療法も違ってきますので、まず自分自身の治療のためにこの識別が必要です。
また、罹患した本人や家族が妊娠中であれば、風疹もりんご病もおなかの赤ちゃんに影響を及ぼすことが考えられるため、初期段階でのはっきりとした診断が重要になってきます。
りんご病の胎児への影響
通常数日で自然治癒するりんご病ですが、妊婦が感染すると胎児に感染することがあります。
その場合、重度の貧血になってしまうために胎児が死亡して早産や流産を引き起こしてしまったり、胎児水腫を起こすことがあります。妊婦がりんご病に気づいた場合はかかりつけの産婦人科医に相談する必要があります。
りんご病はほぼ5年毎の流行周期があると言われています。前回2011年の流行時に厚生労働省が行った調査によると、回答のあった1990の施設で母体から胎児へパルボウイルスB19の感染が確認された例は69件です。
この69人の半数の母親にはりんご病の症状はありませんでしたが、症状のなかった場合も家族など身近な人がりんご病に感染していたことが報告されています。
感染の確認された69人のうち無事に出産したのは17人、流産が35人、死産が14人、中絶を選んだのが3人という結果になっています。
りんご病が引き起こす可能性があるという胎児水腫は出生後全身の循環管理を要し、命にかかわるような場合もある病気です。
りんご病対策
健康な小児が罹っても重症化することは稀ですが、妊娠中の女性や慢性の貧血をかかえているような基礎疾患のある場合も重症化することがありますので注意が必要です。
りんご病はせきやくしゃみなどの飛沫に含まれる病原体が口や鼻の粘膜に触れる飛沫感染によって感染します。2016年は前回の流行から5年目に当たりますので、とりわけ注意が必要です。
りんご病は一度感染すると終生免疫ができて、二度と罹りません。半数近くの人が15歳までに免疫を得ていると言われていますが、血液検査で免疫の有無を調べることも可能です。
まとめ
りんご病がおなかの赤ちゃんに影響するって本当ですか
りんご病とはどんな病気
りんご病の何が厄介なのか
りんご病を疑う大人の注意点
りんご病の胎児への影響
りんご病対策