卵巣は小さな臓器ですが、妊娠に関係する大切な臓器の一つです。卵巣は腫瘍ができやすいことで知られていますが、初期に「卵巣が痛い」と感じることはほとんどないため発見が遅れる傾向があります。
今回は、 卵巣が痛い と感じるときに考えられる病気と治療方法について解説します。
卵巣が痛いときの病気と治療方法
卵巣が痛いときに一番考えられる卵巣炎と卵管炎
「卵巣が痛い」と感じたとき、卵巣だけが炎症をおこしているのではなく、卵管にも炎症がおきていることが多いのです。炎症を引き起こす原因菌は、膣から子宮へ入り卵管に到達します。膣から子宮は一本の管のように続いているため、細菌感染する機会が多いのです。
しかし、膣内は酸性に保たれているため通常ならば細菌の浸入を防ぐことができます。ただ、体力が低下しているときは自浄作用が低下し、感染してしまうことがあるのです。多くの細菌は、膣から侵入し卵巣に到達する上向きのルートで感染していきます。
しかし結核菌の場合は、病巣の肺や腹膜を通り、血流にのって卵管へ下行感染すること可能性もあるのです。稀なケースですが、虫垂炎や腎盂炎のときにも下行感染することがあります。
卵巣が痛いときに注意すべきその他の症状
卵巣が痛いとき、その他の症状にも注意が必要です。症状は、一般的に急性期から亜急性期、そして慢性期に移行していきます。細菌の力が強い急性期には、突然の発熱や下腹部痛がみられることが多いでしょう。
その他にも膿性のオリモノがみられることもあります。卵巣が痛いだけでなく、オリモノの異常や発熱などの症状があるときには、すぐに婦人科を受診するようにしましょう。腹部の診察や内診時に明らかな圧痛があれば急性期であると診断されるでしょう。
卵巣の病気は、下腹部痛や腰痛・嘔吐などの症状があります。そのような症状があるときには、腹膜が刺激されていると考えられるため早めの受診が必要です。
卵巣や卵管は一度病気になると妊娠が難しくなることがあります。卵巣は卵子を作り、卵管は卵子を子宮へ運ぶ重要な役割を持っています。卵巣と卵管は妊娠成立の大切な鍵であることを心にとめておきましょう。
卵巣に炎症があるときの治療方法
卵巣や卵管に炎症がみつかったとき、急性期と亜急性期のときには炎症が広がることを防ぐために安静と抗生物質による治療が開始されます。しかし、すでに炎症が強かったときには卵管口がふさがり、卵管や膣に患部からの滲出液がたまっていると考えられます。
卵管に膿がたまってしまうと卵管留膿腫と診断されます。卵管留膿腫が治り水溶性の液体が卵管にたまると卵管留水腫と診断されます。ときには卵巣に膿がたまり、卵巣膿瘍ができることもあるのです。
卵巣膿瘍になってしまうと、治療はとても難しくなります。炎症が慢性期に入ってしまうと、下腹部に鈍痛が感じられるようになり、牽引痛や腹痛を感じるようになるでしょう。これは、卵管・卵巣の癒着が始まったことを意味しています。
まずは抗生物質の投与で様子をみますが、症状が改善せず腫瘤が小さくならないようであれば手術治療を検討することになるでしょう。卵巣や卵管の炎症は、まわりの組織に癒着したり卵管口をふさいでしまったりして、不妊症の原因になることがあります。
最近は顕微鏡的手術が普及していますが、再発することも多く妊娠を希望する女性にとっては大きな問題になることがあるのです。
卵巣が痛いと感じると、卵巣がんを疑う人も多いようです。しかし卵巣の腫瘍のほとんどは良性が多いといわれています。また、卵巣がんの初期は症状がほとんどありません。卵巣嚢腫とは異なりますが、卵巣腫瘍の仲間でホルモン産生腫瘍という病気もあります。
卵巣の痛みはありませんが、不快な症状があらわれるのです。しかしこれらの不快な症状は腫瘍を摘出すればなくなります。
まとめ
卵巣が痛いときの病気と治療方法
卵巣が痛いときに一番考えられる卵巣炎と卵管炎
卵巣が痛いときに注意すべきその他の症状
卵巣に炎症があるときの治療方法