妊娠中は様々な悪阻(つわり、おそ)の症状に悩まされている妊婦さんも多いと思います。通常の悪阻については何となくわかっていても、病院での治療が必要になる妊娠悪阻についてはあまり知識がない人も多いと思います。
妊娠 悪阻 とはどういった状態なのか、通常の悪阻とはどう違っているのか、正しく知っておきたいと思います。
知っておきたい悪阻と妊娠悪阻
悪阻とは
悪阻は一般的には妊娠初期に現れる症状です。原因ははっきりしていませんが、妊娠することによってホルモンの状態が通常とは変化するため、その変化に身体がついていけず、自律神経のバランスが崩れることで起こると言われています。
主に嘔吐、眠気、倦怠感、頭痛といった症状が現れますが、悪阻の続く期間、現れる症状、程度には大きく個人差があります。
妊娠悪阻とは
一般的な悪阻は妊娠による生理現象なので、一定の期間が過ぎると自然に治まっていくもので母親や赤ちゃんの健康状態には影響を与えるものではありません。悪阻の症状が悪化して治療や入院を必要とする状態になると、妊娠悪阻と言って病気の一種となります。
嘔吐の症状が重い場合、脱水症状を起こすことで全身の機能が低下し、母体や赤ちゃんに影響を及ぼす可能性もあります。
妊娠悪阻を発症するのは全妊婦の1%程度です。悪阻は初産婦の方が現れやすいと言われていますが、重症化しやすいのは初産婦よりも出産を経験している経産婦と言われています。
妊娠悪阻の症状
受診の目安は、1日に5回以上嘔吐する、常に吐き気がある、食べ物や水分を全く受け付けない、食事を数日間全く摂れていない、体重が妊娠前より5kg以上減る、尿の回数が減ったり尿が出なくなったりする、といった症状です。
こういった症状が1つでも当てはまる場合は妊娠悪阻の可能性があるため、病院を受診するようにします。妊娠悪阻は症状の程度によって3段階に分けられ、放置すると重症化することがあります。
第1期は常に吐き気や嘔吐がある状態です。食べ物も水分も摂れないため、体重の減少や脱水症状が見られます。尿の量が減り、尿にたんぱくが確認されることもあります。
第2期は、第1期の症状がさらに重症になり、尿にはケトン体が認められるようになります。代謝異常による中毒症状が起こるため、入院も必要になることもあります。
第3期になると、幻覚や幻聴、昏睡状態といった脳神経症状が出て、体温が低下し、母子共に危険な状態になります。中絶手術が必要になることもあります。
妊娠悪阻は病気なので、我慢をしていれば改善するものではありません。自分自身のためにもお腹の赤ちゃんのためにも、無理をせず、自覚症状がある場合は早めに病院を受診するようにします。
妊娠悪阻の治療
妊娠悪阻は尿中にたんぱくやケトン体が認められ、血液が酸性の状態になるので、病院では尿検査と血液検査をします。ケトン体は体内のブドウ糖が不足しているときに、肝臓が脂肪を分解することで大量に出るものです。
ケトン体が陽性である場合は、身体の栄養素が不足している状態で、妊娠悪阻と診断されます。この場合は即治療が必要になります。妊娠悪阻は病気ではありますが、薬などで治るものではありません。
治療としては、水分も摂れず脱水症状になっている場合がほとんどなので、点滴によって水分と栄養を補給します。症状の重さによって、通院で済む場合と入院が必要な場合がありますが、通院の場合でも、家では絶対安静で過ごさなければなりません。
入院した場合、点滴と食事療法を並行しながら妊娠悪阻の症状が落ち着くのを待ちます。絶食から始まり、徐々に食事を開始していきます。
入院期間には個人差があり、数日から1週間程度で症状が改善して退院する場合もありますが、人によっては入院期間が数ヶ月に及んだり、退院後に再度症状が悪化して入院が必要になったりすることもあります。
妊娠、出産自体は病気ではないため保険の適用はありませんが、妊娠悪阻は病気になるので、治療費、入院費は保険の適用となります。
まとめ
知っておきたい悪阻と妊娠悪阻
悪阻とは
妊娠悪阻とは
妊娠悪阻の症状
妊娠悪阻の治療