排便の回数が多くなり、便がやわらかくなったり水のようになったりすることを下痢といいます。 妊娠初期 は、消化器が弱ったり食べ過ぎたりすることで、下痢を引き起こすことがあるのです。
今回は、 下痢 の原因や 腹痛 を伴う下痢の場合に考えられる病気についてお話しします。
妊娠初期に起こりやすい下痢と腹痛の病気
非感染性腸炎と感染性腸炎の原因と対処方法
妊娠初期に食欲旺盛になる人は、食べ過ぎによる下痢の可能性が考えられます。食べ過ぎによる下痢は、非感染性腸炎です。非感染性腸炎の場合には、下痢が主な症状であり激しく嘔吐したり発熱したりすることは少ないでしょう。
適切な対処をすれば、症状は3日間程度で治まります。原因としては、食べ過ぎや寝冷え、アレルギーや薬剤が考えられるでしょう。抗生物質服用が原因による非感染性腸炎ならば、適切な治療を行わなければ重症化することも考えられます。
一方、激しい腹痛や発熱を伴う下痢は感染性腸炎を疑います。感染性腸炎は、細菌感染によるもので、とくに注意が必要なものが食中毒による下痢です。
細菌性食中毒は、食べ物から感染することが多いため、つわりなどで消化器が弱っているときには食材は加熱調理を心がけ、できるだけ新鮮なものを食べるようにしましょう。感染性腸炎は、下痢と激しい腹痛と嘔吐があり、高熱がでることもあります。
非感染性腸炎よりもはるかに症状は激しく、治療が遅れると症状が悪化したり、長期化したりすることがあるのです。自宅での療養や絶食だけでは対処できないため、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
非感染性腸炎か感染性腸炎かの診断は、食べた物や海外渡航についての問診でおおよそ見当がつきます。
ストレスが原因の下痢と腹痛
妊娠初期は、ストレスが原因で下痢になる人もいます。ストレスが原因の下痢を過敏性腸症候群といい、慢性的な下痢になっていることが多いのですが、心配いらない病気です。症状は、下痢もしくは下痢と便秘が交互に起こることもあります。
お腹が痛む場所は、一定ではなく排便があると痛みが軽減することが多いでしょう。排便回数は多いですが、就寝中は便意がないことが特徴です。排便後に便が残っているような感覚やお腹が張る症状を訴える人もいます。
ストレスが原因の下痢であるかを診断するためには、ほかに腸の病気がないことを確認する必要があるのです。また、過敏性腸症候群の診断にはローマ基準がしばしば使われています。
ローマ基準とは、1年間で少なくても1カ月以上(連続していなくてもよい)下記の3つの症状のうち、2つ以上が当てはまれば過敏性腸症候群と診断する方法です。
- 排便があると症状は軽減する
- 排便の回数が変化する
- 便の性質に変化がある
過敏性腸症候群と診断されても、心配のない病気であるため積極的な治療は必要ではないでしょう。むしろ「心配いらない病気でよかった」と考えることが大切です。
妊娠初期は、仕事と家事との両立などストレスが多い時期ですが、規則正しい生活と食生活を心がけストレスを少なくするようにしましょう。
下痢をしているときの注意点
下痢で一番注意が必要なことは、脱水症です。激しい下痢により、体の中の水分や電解質が失われて、体液が不足してしまうと脱水症になります。スポーツドリンクや重湯をこまめにとるようにしましょう。
つわりで食欲がないとき、炭酸飲料を好んで飲む人がいますが、下痢のときには腸管運動を盛んにしてしまうため、炭酸飲料は控えるようにします。下痢の症状が改善してきても、消化の良いものから徐々に食べるようにしましょう。
妊娠中は、膀胱炎になりやすくなっています。下痢のときには、とくに衛生面に注意し細菌感染しないよう注意が必要です。
まとめ
妊娠初期に起こりやすい下痢と腹痛の病気
非感染性腸炎と感染性腸炎の原因と対処方法
ストレスが原因の下痢と腹痛
下痢をしているときの注意点