咳は異物を取り除くための防御反応であるため、通常であれば様子をみてから対処してもいいでしょう。しかし妊娠中の咳は体力を消耗するだけでなく、腹圧がかかる心配もあります。
今回は 妊娠 中の 咳 の賢い対処と注意点について解説します。
妊娠中にかかりやすい咳の病気と注意点
妊娠中にかかりやすい咳の病気
風邪が原因の咳で、夜も睡眠が十分にとれているようであればあまり心配はいりません。ただ、長引く咳の場合は、肺に炎症が起きている可能性が考えられます。咳がひどくなる病気の一つにマイコプラズマ肺炎があります。マイコプラズマ肺炎が母体から胎児に感染することはありません。
マイコプラズマ肺炎の治療にはマクロライド系の抗生物質が使われることが多いのですが、妊婦への投与は医師によって判断が異なります。
抗生物質を使わない場合は、治癒するまでに時間がかかり体力も必要となるため、人ごみを避けたり手洗いを徹底したりと感染しないように注意することが大切です。
またインフルエンザも咳症状が出る呼吸器感染症の一つです。インフルエンザは秋から冬に流行し、伝染性が強く大流行を起こすこともあります。妊娠中のインフルエンザの治療も妊娠週数に応じて異なり、薬の使用も医師と相談して決めるようにしましょう。
やはりインフルエンザも感染する前に予防することがとても重要です。地域や周辺環境での流行の情報に気をつけ、流行期はマスクを着用するなどの工夫が必要です。
なぜ妊娠中の咳は心配か
妊娠中の咳で心配なことは、咳をすることによって腹圧がかかることと、睡眠不足による体力低下です。とくに妊娠中期以降は咳による腹圧が原因で早産や破水することもあります。咳がひどく、お腹の張りが強くなってきたら早めに医師に相談するようにしましょう。
また、睡眠不足の状態で出産が始まると、体力が落ちているためお産が辛くなる可能性もあります。夜は咳が出ないように、部屋の湿度を高めにしてのどの乾燥を防ぐようにしましょう。
レントゲン検査は受ける前に妊娠中であることを医師に告げる
咳が出ている場合は、熱があったりたんが黄色くなってきたりしたら、医師の診察を受けるようにしましょう。また1週間以上続くしつこい咳の場合も肺炎や肺結核の可能性があるため早めの診察が必要です。肺の疾患が疑われるときには、胸部のレントゲンを撮影し異常な影があるかをみます。
しかし、妊娠中は胸部のレントゲン撮影は放射線の影響を考えて慎重な検討が必要です。妊娠初期で外見から妊娠中とわかりにくい場合は、レントゲン検査を受ける前に医師に妊娠中であることを伝えましょう。
必要に応じて薬の服用も検討する
咳はこまめな水分補給と湿度管理、姿勢によって症状が大きく変化します。はちみつは荒れた粘膜を修復し、咳を沈める効果があるといわれています。はちみつにレモンや大根の汁を合わせれば、ビタミンと水分を一緒に摂ることができ、さらに効果的です。
のどの周りを保温し、クッションなどで上体を高くして寝るだけでも呼吸は楽になります。妊娠中は薬の服用をできるだけ避けるべきですが、最近は妊娠中でも服用できる薬がたくさんあります。咳を我慢して睡眠不足になると免疫力も低下します。
咳は悪化すると気管支炎から肺炎になることもあるため、就寝中も咳が出るようであれば薬の服用も検討しましょう。ただし、自己判断で市販の薬を服用することはやめるべきです。妊娠中に薬を服用する場合は、必ず医師に相談したうえで妊娠中でも服用できる薬を処方してもらうようにします。
咳や熱がある状態で産婦人科を受診する場合は他の妊婦に感染させないように、事前に電話で症状の説明をして来院する時間を確認しておくといいでしょう。
まとめ
妊娠中にかかりやすい咳の病気と注意点
妊娠中にかかりやすい咳の病気
なぜ妊娠中の咳は心配か
レントゲン検査は受ける前に妊娠中であることを医師に告げる
必要に応じて薬の服用も検討する