乳腺は、卵巣ホルモンの影響を受けやすいため、妊娠中は胸の張りやしこりを感じる人も多いものです。ホルモンの影響や乳汁の影響の場合には、時間が経つにつれ症状が治まる傾向があります。
今回は 妊娠 中の 胸の張り から考えられる病気を解説します。
妊娠中の胸の張りから考えられる病気
妊娠中に胸の張りが起こるしくみ
乳房は中心部の乳糖と周囲の乳輪、乳腺組織と皮下の脂肪組織から成り立っています。乳腺組織は20個程度の線葉にわかれ、さらに線葉は腺房にわかれているのです。乳房の大きさや形は個人差があります。
乳房の色や形は女性ホルモンの影響を受けやすく、月経前や妊娠中は胸の張りを強く感じたり、乳頭の色も濃くなったりするのです。乳腺のはたらきは、母乳である乳汁を作るためであり、エストロゲンやプロゲステロン、プロラクチンなどの影響を受けやすくなっています。
妊娠中は、それらのホルモンバランスが崩れやすいため胸の張りがおこるのです。
妊娠中に胸の張りが感じられる病気は、細菌が入って化膿することによっておこる炎症性の病気、ホルモンバランスが崩れることで乳腺組織が変化する病気、乳腺細胞が異常増殖するする腫瘍性の病気の3種類があります。
それぞれ、乳腺炎と乳腺症と乳がんが代表的な病気です。胸の張りが起こる病気の特徴は、ホルモンの分泌程度によって症状も影響を受けることでしょう。乳房は体の表面にあり、手で触ることで症状の変化に気がつくことができます。
胸の張り以外にも、乳房の自己検査を月に1回行うことで、乳がんなどの悪いしこりがあったとしても、早期発見することができるのです。
胸の張りとしこりがある
胸の張りとともにしこりがある場合には、しこりの固さで病気が変わります。弾力性があり境界線がはっきりとしているしこりの場合には、乳腺線維腺腫の疑いがあるのです。比較的若い女性に多く、小豆大よりも多少大きいしこりでゴムのように弾力があります。
痛みはない良性の腫瘍です。しこりは徐々に大きくなりますが、3センチ程度で止まりその後は小さくなって消失することもあります。
しこりが、固くなく境界線もはっきりしないしこりがある場合には、乳腺症を疑いましょう。胸の張りとともにしこりがある場合のほとんどが乳腺症といわれるほど症例の多い病気です。
原因は、女性ホルモンのバランスが崩れることといわれているため、30歳から50歳に多くみられますが、妊娠中もかかりやすい病気です。乳腺の老化現象とも考えられ、病気としない医師も多くいます。
乳腺症のしこりの内部には線維化したものや、過剰に増殖した乳腺組織やのう胞があるのですが、乳腺症が原因で乳がんになることはあまりないといわれています。
しかし、乳腺症のしこりと乳がんのしこりを触った感触だけで区別することは難しいため、自己判断せずに診察と検査を受けるようにしましょう。
痛みのない固いしこりがある場合には、乳がんの可能性も否定できません。しこりの近くの皮膚がひきつっていたり、しこりがだんだんと大きくなってきたりするようであれば、すぐに受診するようにしましょう。
乳がんはしこりが増えてくるものですが、しこりが小さければ小さいほど治りもよいといわれています。「妊娠中は乳がんにならない」という噂を信じずに、月に1回の自己検査は妊娠中も続けるようにしましょう。
胸の張りと痛みがある
妊娠後期になると、乳房は乳汁を作る準備を始めます。乳管が、なんらかの原因で詰まってしまうと痛みを感じることがあるのです。
うっ滞性乳腺炎といわれる病気ですが、冷やしていると痛みがおさまってくる傾向があります。痛みが強くなり、胸の張りが強くなってくるようであれば産婦人科で相談してみてもいいでしょう。
まとめ
妊娠中の胸の張りから考えられる病気
妊娠中に胸の張りが起こるしくみ
胸の張りとしこりがある
胸の張りと痛みがある