現代は働いている女性も多く、晩婚化が進んでいることもあり、35歳以上で 妊娠 、出産をする 高齢 出産の割合は増えています。ただ、高齢になるほど妊娠しにくくなりますし、妊娠できたとしても高齢出産にはリスクも伴います。
事前に知識を得ておくことで防げることもあるので、今では珍しいものではない高齢出産について正しく知っておきたいと思います。
高齢妊娠、出産について正しく知っておこう
年齢別の妊娠率
女性は年齢が上がるほど妊娠する確率が下がります。自然妊娠率は30歳を過ぎると徐々に低下し、30歳までは25~30%ある確率が35歳では18%、40歳では5%、45歳で1%に下がります。
不妊治療を行って体外受精をした場合の妊娠率は、30歳で37%ほどですが、35歳を過ぎると徐々に低下し、40歳で20%、45歳で5%以下になります。
高齢で妊娠しにくくなる原因
年齢が上がると共に妊娠率が低下する原因は、卵子の老化し、卵子の質が低下することが最も大きな原因です。卵子は産まれたときから体の中にあり、排卵のたびに減っていきます。精子とは違って新しく作られることはないので、年齢を重ねるとともに卵子は老化、劣化していきます。
加齢以外にも、偏った食生活や喫煙、睡眠不足、運動不足といった生活習慣、婦人病の増加も卵子の老化を早める原因になります。
高齢で妊娠するためには
卵子の老化は、食生活や生活習慣で防止することができると言われています。
1つは、老化を促進させる活性酸素を取り除くことです。喫煙、アルコール、紫外線、ストレスは活性酸素を発生させる要因になるのでできるだけ避けると同時に、ビタミンEなど抗酸化作用のあるものを食事に取り入れ、抗酸化作用をあげるようにします。
2つ目は血流アップです。血流の促進は卵子の発育を促すので、適度な運動や入浴、食事などで身体を温めるようにします。血流を促進し免疫力や代謝力をあげることは、有害物質や老廃物をスムーズに排出することにも繋がります。
3つ目は十分に睡眠をとることです。睡眠時に分泌される成長ホルモンは卵子の質の維持にも影響しています。
4つ目はバランスの良い食事です。栄養素の不足は卵子の発育を阻害することになるので、不足なく栄養素を摂取することも必要です。
5つ目は疾患や感染症の早期発見、治療です。子宮内膜症などの疾患やクラミジアなどの感染症は卵子の老化だけでなく、子宮への影響も大きいため、生理不順や生理痛の変化などは放置せず、気になる場合は病院を受診することが大切です。
高齢妊娠のリスクと注意点
高齢出産にはいくつかのリスクがあります。高齢での妊娠は母親の身体にも負担がかかるため、妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)や妊娠糖尿病、甲状腺の疾患、子宮筋腫、卵巣腫瘍といった病気にもかかりやすくなります。
高血圧や尿のたんぱく、むくみといった症状の妊娠中毒症は、重症化すると合併症を併発することもあるので注意が必要です。
妊娠中毒症は、全妊婦の10%の確率で発症しますが、35歳以上では14~18%、40歳以上では30%になります。妊娠中は塩分を控えめにし、バランスの良い食事をするようにします。
流産や早産の確率も高くなります。卵子の老化は染色体異常を引き起こす一因でもあるので、染色体異常が主な原因である流産やダウン症といった障害の発症率も上がります。染色体の異常は母親由来であることが8割です。
流産の確率は20代では10%ですが、40代では20%と倍になります。ダウン症の発症率は20代では0.1%ですが、40代では1%と10倍になります。染色体異常は予防することはできないので、リスクを理解しておくことが必要です。妊娠中に出生前診断を受けることはできます。
また、高齢出産は難産になりやすいと言われています。年齢を重ねることで産道や子宮口が固くなるため、子宮口も開きにくく分娩時間が長くなる傾向がありますが、個人差もあるので一概には言えません。
高齢出産はリスクを伴うものですが、全員にトラブルが起こるわけではありません。正しく理解した上で必要以上に恐れることなく、妊娠、出産に臨んでもらいたいと思います。
まとめ
高齢妊娠、出産について正しく知っておこう
年齢別の妊娠率
高齢で妊娠しにくくなる原因
高齢で妊娠するためには
高齢出産のリスクと注意点