妊娠 5カ月以降になると 中期 に入り、つわりの症状も落ちつき始める人が多くなります。しかし、 吐き気 の症状が続く人もいて、その原因はさまざまです。
今回は、中期になっても続く吐き気の原因と対処方法についてお話しします。
妊娠中期の吐き気の原因と対処方法
便秘による吐き気
妊娠中期になると胎児が大きくなるため、胎児が母体の腸の動きを妨げることがあります。また便意を感じても、いきむことが怖くて排便を我慢してしまい便秘を引き起こすのです。
軽度の便秘ならば食べ物に気をつけたり、運動をしたりすることで改善することができます。運動不足を避けてできるだけ野菜やイモ類を食べるように心がけましょう。イモ類は食物繊維が豊富で便秘を改善するだけでなく、腹持ちがいいため妊娠中の体重管理にも適した食材です。
便秘は悪化すればするほど改善するまでに時間がかかります。毎朝起床時に冷たい水か牛乳をコップに1杯飲んで大腸を刺激するなど、自分に合った便秘対策をみつけるといいでしょう。
吐き気を伴う重度の便秘の場合には医師に相談し、便秘薬を処方してもらうようにしましょう。下剤や浣腸の乱用は便の排出を悪くする原因となります。とくに妊娠中の下剤や浣腸の使用は自己判断で使用することは避け、かかりつけ医に相談してください。
消化不良による吐き気
妊娠初期の吐き気はつわりが原因であることが多いのですが、中期に再び吐き気が起きた場合には胃の圧迫が原因であると考えられます。胃はお腹が大きくなるにつれて圧迫されるのです。
胎児が大きくなればなるほど一度に入る食事量は減ってくるため、食事の回数を増やして一回の食事量を減らすといいでしょう。揚げ物、チョコレート、酸味の強いものは胸やけを起こしやすいため避け、消化のいいものを食べるようにします。
また、消化不良は精神的な不安から起こることもあります。妊娠中は気持ちが繊細になりがちです。家族に話を聞いてもらったり、気分転換に散歩に出たりしてストレスをためないようにすることも大切です。
貧血による吐き気
貧血とは血液が薄くなっている状態で、血中のヘモグロビンの量が減少していることをいいます。妊娠中は出産時の出血に備えるために、母体は水分をため込みます。そのため血液量を増えるのですが、血液は薄くなる傾向があるのです。
妊娠中期は胎児も急速に大きくなる時期でもあり、貧血になりやすい期間といえます。貧血の症状は、顔色が悪くなったり疲れやすくなったりすることが多いのですが、吐き気の症状を訴える人も多いのです。妊娠中は定期的に血液検査を行うため、貧血であるかどうかはすぐにわかります。
妊娠中の貧血は鉄分不足による鉄欠乏性貧血がほとんどです。鉄欠乏性貧血と診断されたら鉄剤を処方されます。鉄剤は経口投与が中心で、吸収された鉄はすぐに貧血の改善に使われます。
そのため鉄剤を服用すると吐き気などの自覚症状は改善するのですが、体内に蓄えておく貯蔵鉄はすぐには回復しません。自覚症状が改善したからといって自己判断で服用を中断せず、指示通りに服用を続けることが大切です。
ただ、鉄剤は人によって副作用が出ることがあります。気になる症状がある出た場合には、医師に相談し服用回数を減らしたり薬を変えてもらったりすることも検討しましょう。
ホルモンの変化による吐き気
妊娠すると胎盤が完成するまでプロゲステロンというホルモンが分泌されます。プロゲステロンは排卵から月経までの期間も分泌されるホルモンで、月経前の不快な症状を起こす原因の一つです。
妊娠中期に入り胎盤が完成するとプロゲステロンの分泌も落ち着き、吐き気がおさまる人が多いのですが、プロゲステロンが多く分泌された場合は中期になっても吐き気が続くことがあります。
中期は胎児も大きくなる時期で栄養を多く必要とするため、吐き気が強くて食事がとれないようであれば、早めに医師に食事や栄養の取り方について相談するようにしましょう。
まとめ
妊娠中期の吐き気の原因と対処方法
便秘による吐き気
消化不良による吐き気
貧血による吐き気
ホルモンの変化による吐き気