お産の進み方は一人ひとり違います。分娩台に上がって数十分で産む人もいれば、数日陣痛に苦しむ人もいます。お産がうまく進まない場合、胎児や母体に命の危険が及ぶこともあります。そのような場合は緊急帝王切開などの医療措置が施されることになります。
では、 難産 による緊急医療措置にはどのようなものがあるのでしょうか。
難産ってどんなこと?どんな医療措置があるの?
難産とは?
お産の進み具合は、以下の点によって変わります。
- 胎児の大きさ
- 産道の柔らかさ(子宮口の開き具合)
- 骨盤の大きさや形
- 母親が持つ、胎児を外に出す娩出力
これらのいずれかに難があるとお産の進みは悪くなります。規則的な陣痛が始まってから、胎児が出て胎盤が出るまでの時間が初産で30時間、経産は15時間を目安とし、それよりも長くなる場合を難産といいます。
陣痛時間が長ければ長いほど母子共に体力が奪われるので好ましくありません。または人為的な助けがなければお産を完了することが難しい場合も難産といいます。
難産であった場合の母子への影響
難産で時間がかかりすぎた場合や母体に異常が起きた場合に胎児が仮死状態となったり、出産後に呼吸を始めないなどの呼吸障害になったりと生命に関する危険な状況が起こる場合もあります。
母体側にも出血多量による貧血や酸素不足、癒着胎盤や子宮破裂などの理由によって命の危険が発生します。また膣や会陰の裂傷、子宮脱などが発生する恐れもあります。
医者の行う措置
では、患者が難産になると医者はどのような措置をとるのでしょうか。
吸引分娩や鉗子分娩
妊婦の娩出力が弱かったり、分娩が長引いて胎児の生命に危険が生じたりした場合に使用します。吸引分娩はカップのような器具を胎児の頭に付けて圧力で引っ張り出し、鉗子分娩はスプーンのような器具で胎児を引き出します。
しかし、強引に取り出すことによってリスクも生じます。胎児の頭を強引に引っ張りますので、頭が歪んだり血腫ができたりします。ですがこれ自体はいずれ治るものです。ただし頭蓋骨内部で出血した場合には後遺症の恐れもあります。場合によっては脳性麻痺を起こしてしまう可能性があります。
緊急帝王切開
以下の理由などにより、緊急で帝王切開が行われることがあります。
- 産道が固くなって胎児が通りにくい
- 母体の体力が持たずいきめない
- 胎児が仮死状態になっている
- 胎児が下りてこない回旋異常や骨盤との不均衡
- 母体に妊娠高血圧症候群などの合併症が発症した
- 胎盤剥離、子宮破裂などの異常が発生した
- 吸引分娩や鉗子分娩で引き出せなかった場合
運悪く難産になった場合、医師がタイミングを見誤ると最悪母子ともに命を落としてしまうケースもあります。昨今の日本ではかなり医療技術が進歩していますから、お産の際に母親が命を落とすケースは少ないものの、なるべくなら難産にならないようにしたいものです。
難産にならないようにするためには?
お産は胎児の大きさ、産道の柔らかさ(子宮口の開き具合)や骨盤の大きさ、母親の娩出力で変わってくるのでしたね。難産にならないようにする対策を考えてみましょう。
難産にならないようにするためには、まず体重管理がポイントです。太りすぎると産道に脂肪がつき狭くなってしまい、胎児が出づらくなります。
また、痩せていればいいというものでもありません。痩せすぎると胎児を外に送り出す娩出力が低く分娩時間が長くなる可能性があります。各自の適正体重を医師と相談し守るようにしましょう。
また糖質や炭水化物のものを摂りすぎると妊娠中毒症(高血圧症候群)等になる恐れがあり、母子ともに命の危険が生まれかねません。ママになるのですから、食生活の管理もしっかり行いましょう。
最後に、正期産に入り医師から特に指示のない妊婦さんは、娩出力をつけるために体力作りに励みましょう。ウォーキングをする方が多いようですがマタニティヨガやマタニティエアロビクスもお勧めです。
一方、医師から指示がある妊婦さんは決して無理をしないでください。お産は一人ひとり違いますが、医師や助産師、看護師を信じて赤ちゃんと一緒に頑張ってください。
まとめ
難産ってどんなこと?どんな医療措置があるの?
難産とは?
難産であった場合の母子への影響
医者の行う措置
難産にならないようにするためには?