未熟児という言葉は誰もが耳にしたことがあると思いますが、正しく理解している人は少ないかもしれません。現代は医療も進歩しているので、未熟児でも適切な処置がされれば問題なく育つことができます。
未熟児 にもいくつかの分類があるので、未熟児の定義、原因、未熟児で産まれた場合のリスク、処置について正しく知っておきたいと思います。
未熟児について知っておこう
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未熟児とは
未熟児とは、以前は産まれたときの体重が2500g未満で産まれた赤ちゃんの全般を指していましたが、体重と身体機能の発達の程度は異なるため、現在は出生時の体重だけでなく、母親のお腹の中にいた期間である在胎週数も含めて分類されています。
出生時の体重による分類では、2500g未満である場合は低出生体重児、その中でも1500g未満の場合は極低出生体重児、1000g未満を超低出生体重児といいます。
在胎週数による分類としては、37~42週未満で産まれた赤ちゃんを正規産児と呼ぶのに対し、37週未満で産まれた赤ちゃんを早産児といい、その中でも28週未満で産まれた場合を、超早産児といいます。
低出生体重児の多くは早産児ですが、中には在胎週数が十分な正規産児でも低体重で産まれる場合もあります。未熟児の出産総数は減っていますが、割合は年々増えています。
未熟児の産まれる原因
早産児、低体重児の産まれる原因は様々ですが、母親の生活習慣や体質、妊娠中のトラブルが原因となる場合も多くあります。
原因となる生活習慣としては、まず喫煙や飲酒です。特に、喫煙と未熟児には関連があることが明らかにされています。母親の血液中の酸素が奪われることで、赤ちゃんが低酸素状態になり、脳の発達に影響を及ぼす場合もあります。
また、喫煙や飲酒をすることによって血管が収縮し、赤ちゃんに十分な血液が送られず栄養不足になることがあります。
次に、妊娠中の母親の栄養不足、カロリー不足です。妊娠中は通常7~12kgの体重増加が目安とされていますが、最近は、妊娠中であっても体重増加を抑えたいと考え、食事制限をする母親も増えています。母親の栄養不足は赤ちゃんの栄養不足になり、赤ちゃんの成長を妨げます。
その他、母親が歯周病になった場合、歯周病菌が胎盤を通して赤ちゃんにも届くことで赤ちゃんの成長を妨げることもあります。
また、妊娠高血圧症候群にかかることで、胎盤の血管に圧力がかかって赤ちゃんに十分な栄養を送れなくなり、赤ちゃんの成長が妨げられることがあります。
低体重児の原因となる妊娠中のトラブルには、胎盤早期剥離。子宮頚管無力症、羊水過多、羊水過小、前期破水といったものがあります。また、双子など多胎妊娠の場合も低体重児の産まれることが多くなります。
早産児、低体重児は予防できない場合もありますが、母親が生活習慣を整えることで防げる部分もあるので、妊娠判明後は飲酒、喫煙はやめ、バランスの取れた十分な食事を摂ること、塩分や糖分を摂りすぎないこと、睡眠不足や過労などに気をつけ身体に負担をかけすぎないこと、など基本的な生活習慣を見直していくと良いでしょう。
処置
体温を保持する能力が低いため、体温調節ができるようになるまでは保育器内で、室温と湿度を管理します。吸う力が弱く、母乳やミルクの飲みもあまり良くない傾向にあるので、自分で哺乳できない場合は、チューブを使い胃に直接ミルクを流し込みます。
早産児の場合は呼吸器系や心臓などの臓器が未発達である可能性もあるということと、抵抗力が弱く感染も心配されるということで、新生児集中治療室(NICU)で経過をみることが多くなります。
合併症にもかかりやすく、黄疸、貧血、低血糖、未熟児網膜症といったものにもかかりやすくなります。退院後も定期的に通院し、経過を観察します。1歳ころで成長が追いつく場合もありますが、3歳くらいまでは小柄なまま成長していくことが多くなります。
一人歩きといった身体面の発達、脳の発達については、出産予定日を基準とした月齢でみていきます。現代は医療の進歩によって低体重児でも多くは通常と変わらずに成長していきます。
まとめ
未熟児について知っておこう
未熟児とは
未熟児の産まれる原因
処置