赤ちゃんは未熟児になっても心配ですが、出生時の体重が4000グラムを超えると巨大児と言われ母子ともに危険な状態になることがあります。非遺伝的な原因の 巨大児 については親が原因やリスクなどを認識しておくことで、ある程度巨大児になることを防ぐことができるようになります。
母子ともに危険な状態になることもある巨大児の出産
巨大児とは
巨大児とは、外見的に奇形などの異常がなく出生時の体重が4000グラム以上の新生児のことを指し示します。出産予定日を過ぎてから出産すると大きめに生まれることはよくありますが、出産予定日あたりで産まれても巨大児になることがあります。
巨大児の原因
巨大児は大きく二つの種類に分けられます。ひとつめのタイプは対称性巨大児と呼ばれるもので、遺伝的な要素に基づいて発生します。このタイプの巨大児は体重が重いという以外で異常がみられません。正常な子宮内の環境で発育していきます。
もうひとつは非対称性巨大児と呼ばれるタイプです。糖尿病を患っている母親から産まれた赤ちゃんにみられるもので、母体の血糖コントロールがうまくいっていない時に発生しやすいとされています。
こちらのタイプの巨大児は呼吸不全や臓器の膨張といった特徴がみられます。心臓や肺、脾臓、副腎、肝臓などの臓器が腫大します。
母体の高血糖により、胎盤から大量のブドウ糖が赤ちゃんへと移行してしまい、赤ちゃんも高血糖となります。
血糖値をさげるために、赤ちゃん側ではインスリンというホルモンがたくさん分泌されます。胎児のインスリンは成長ホルモンとしても機能するため、赤ちゃんの体重が増加して巨大児になります。
巨大児の出産時のリスク
巨大児は一般的な体重で産まれる赤ちゃんと比べると、出産時のリスクが高くなります。赤ちゃんの体重が重いということは、体の大きさも大きいということになります。産道を通り抜けるのに時間がかかって、分娩の時間が長くなる可能性があります。
産道をうまく進めないとお産が長引き、母子ともに命の危険があるため、緊急帝王切開に切り替えて出産することもあります。
分娩時に赤ちゃんが上手に産道を通り抜けられず、赤ちゃん自身が怪我をすることもあります。赤ちゃんの体が大きいので、産道の中でいろいろなところが引っかかりやすくなってしまいます。赤ちゃんの肩が引っかかることが多く、強い力を受けて赤ちゃんの鎖骨が折れてしまったり、わきの下にある神経などを傷つけてしまったりすることもあります。
母体側にも大きな影響があります。赤ちゃんが大きすぎると膣や会陰部に強い力が加わり、裂傷が大きくなる傾向にあります。裂傷が著しく大きい場合は、出血多量に陥って危険な状態になることもあります。
巨大児の病気や障害について
遺伝的な要素が大きい対称性巨大児は、出産時に怪我などをしなければ特に目立つ病気や障害などは出ません。
一方、母体の糖尿病が原因で巨大児になってしまった非対称性巨大児では、呼吸困難や呼吸障害、低血糖、心不全、多血症、低カルシウム血症、新生児黄疸などいろいろな病気や障害がみられる可能性があります。
赤ちゃんの呼吸に障害がある時は酸素を投与したり、人工呼吸器で管理したりすることもあります。また、低血糖の状態がひどい場合は、ブドウ糖の輸液が必要になることもあります。
巨大児でも自然分娩で出産する人もたくさんいます。ですが、巨大児の分娩では難産のせいで、産まれてくる赤ちゃんに後遺症が残る可能性があります。母体の骨盤のサイズと赤ちゃんの推定体重をしっかりと調べてから自然分娩か帝王切開かを選ぶようにすると安心です。
巨大児にならないために
巨大児にしないためには、母体が妊娠糖尿病にならないようにしっかりとコントロールを行うのが最善だと言われています。
妊娠の全期間を通して、体重の管理を確実に行い、カロリーオーバーによる過剰な体重増加を防ぎましょう。また適度に運動をして、一気に体重が増えることのないようにしておくのも大切です。
もともと糖尿病を患っている妊婦はかかりつけの医師と相談の上、慎重に食事の制限などを行っていくことが必要です。
まとめ
母子ともに危険な状態になることもある巨大児の出産
巨大児とは
巨大児の原因
巨大児の出産時のリスク
巨大児の病気や障害について
巨大児にならないために