授乳に深く関係しているプロラクチンと呼ばれるホルモンは、妊娠・出産により分泌量が増えます。しかし、妊娠前に何らかの原因でプロラクチンの血中濃度が高くなることがあり、これを高プロラクチン血症といいます。
不妊症になり得る 高プロラクチン血症 を理解し、妊娠しやすい身体づくりを目指しましょう。
高プロラクチン血症を知り妊娠しやすい身体づくりを目指そう
高プロラクチン血症とは
主に授乳をつかさどり、乳腺を刺激することで乳汁の分泌を促す働きはプロラクチンというホルモンの作用によるものです。授乳中にはプロラクチンの血中濃度が高くなり、無月経・無排卵となることで次の妊娠を抑制します。
通常、妊娠前のプロラクチンの血中濃度は15ng/mL以下ですが、妊娠していないにも関わらずプロラクチンの血中濃度が30ng/mLを超えた場合、高プロラクチン血症と診断されます。
高プロラクチン血症を引き起こす原因
高プロラクチン血症の原因は大きく3つに分けられます。
1つ目は薬剤性高プロラクチン血症です。これはピル、抗うつ剤、降圧剤、胃潰瘍治療薬などの薬剤を長期に渡り服用することで、ホルモンバランスが崩れ、発症することがあります。この場合、薬剤の服用を中止すればプロラクチンの濃度は下がり正常値となります。
しかし、簡単に薬剤の服用を中止することができない場合は、服用量をの減量や薬剤の変更などを行います。
次に腫瘍性高プロラクチン血症です。プロラクチンは脳の下垂体から分泌されるのですが、そこに腫瘍が生じることで、ホルモン分泌のバランスが崩れ、高プロラクチン血症となることがあります。
腫瘍自体は良性の腫瘍であることがほとんどです。頭痛、吐き気、めまい、視野狭窄などの自覚症状が出る場合があり、脳神経外科の受診が必要です。
最後に機能性高プロラクチン血症です。これはストレスなどにより自律神経のバランスが乱れることにより発症します。
薬剤の服用が特になかったり、腫瘍が見つからないなど、はっきりとした原因が分からない場合に生じる高プロラクチン血症はこの機能性高プロラクチン血症である可能性が高くなります。
高プロラクチン血症が及ぼす影響
通常、妊娠・出産によりプロラクチンの血中濃度は上昇します。しかし、高プロラクチン血症では妊娠・出産をしていないにも関わらずプロラクチンの血中濃度が上昇するため、身体は妊娠・出産時と同様のホルモンバランスを構築しようとします。
すなわち、月経や排卵が抑制され、乳汁分泌が起こります。排卵が抑制されるため、不妊症になりやすくなります。
また、因果関係ははっきりしていませんが、習慣性流産の15%に高プロラクチン血症がみられるという報告もあるようです。脳下垂体にできた腫瘍が原因の高プロラクチン血症では頭痛、吐き気、めまい、視野狭窄などの自覚症状がみられます。
治療法
薬剤性高プロラクチン血症では原因となる薬剤の減量や中止を行い、必要に応じて服用薬剤を変更します。それでも改善が見られない場合はプロラクチンを減らす薬剤が処方されることがあります。
腫瘍性高プロラクチン血症では薬物療法、手術療法、放射線療法の3つの治療法があり、いずれかあるいは組み合わせて治療が行われます。
機能性高プロラクチン血症では原因が明確でない場合にはプロラクチンの分泌を抑制する薬剤が用いられることがあります。しかし、多くの場合ストレスが関与していると考えられているため、ストレス解消を意識的に行っていくことが重要です。
また、ストレスにより自律神経が乱れてしまうため自律神経を整えることも大切です。ストレスや自律神経の乱れは身体を温め、精神を安定させることにより改善が期待できます。
さらに、身体を温めることで卵巣や子宮といった臓器を温め、機能改善につながり、不妊症に対してもいい効果が期待できます。
高プロラクチン血症と妊娠
高プロラクチン血症では無排卵や無排卵月経になることがあります。排卵が行われていなければ妊娠はできません。これといって症状がなくても、なかなか妊娠できない場合は、プロラクチンの血中濃度が高い傾向にあるのかもしれません。
まずは基礎体温を付け、産婦人科を受診しましょう。不妊の原因が高プロラクチン血症だと分かれば、きちんと治療を行いホルモンバランスを整えることで妊娠は可能です。治療と同時に体質改善・生活習慣の見直しを行い妊娠しやすい身体づくりを目指しましょう。
まとめ
高プロラクチン血症を知り妊娠しやすい身体づくりを目指そう
高プロラクチン血症とは
高プロラクチン血症を引き起こす原因
高プロラクチン血症が及ぼす影響
療法
高プロラクチン血症と妊娠