卵巣の調子はいかがですか?いきなりそんなことを聞かれてもピンと来ないでしょう。卵巣は、腫れや異常があっても初期の頃は全く自覚症状がない「沈黙の臓器」と言われています。卵巣には数百万もの原子細胞があり、毎月卵子を作り出しています。
一方で、腫瘍ができやすい器官でもあります。中でも卵巣嚢腫は良性の腫瘍であることが多いです。中でも 成熟嚢胞性奇形腫 と言う嚢腫は卵巣内に髪の毛や皮膚、骨など人体の一部を作り出します。今回は、この 奇形腫 についてみてみましょう。
あなたの卵巣は大丈夫?!卵巣嚢腫(奇形腫)について知ろう
卵巣嚢腫の種類
卵巣嚢腫には色々な種類があります。タイプ別に大きく分けると、さらさらの液体が卵巣にたまる液状性嚢胞腺腫、どろどろの液体がたまる粘液性嚢胞腺腫、そして若い女性に多い成熟嚢胞性奇形腫があります。
この奇形腫は、卵巣内で本来卵子を作り出さなければならない細胞が、受精もしていないのに勝手に分化して 歯や髪の毛、骨や皮脂や筋肉など人体の様々な部分を不完全に作り塊になります。その結果卵巣が腫れあがってしまうのです。
奇形腫の原因、症状、発症年齢
奇形腫は若い年齢で発症しやすい嚢腫です。20代から30代まで若い世代で発覚する人が多く、子供でもかかります。原因は解明されていません。腫瘍が小さいうちは、自覚症状がない場合が多いです。大きくなってくると、周辺臓器を圧迫して便秘や下腹部膨満などを招くことがあります。
大きく成長すると、茎捻転を起こすことがあります。卵巣が捻じれてしまうと、いきなり下腹部に激痛が走り、嘔吐を起こしショック状態になることがあります。この状態になると捻じれた先に血が回らなくなり卵巣細胞が壊死してしまう危険性がある為、緊急手術をしなければなりません。
治療方法
嚢腫の大きさによって治療方法が分かれてきます。最初の検査で腫れが少なく捻じれや癒着がない状態なら、様子をみる場合が多いです。というのも、 月経周期によって卵巣の大きさは変化する為、超音波検査で卵巣に腫れを見つけても、すぐに嚢腫であると診断するのは難しいのです。
しかし卵巣嚢腫のうち奇形腫であると診断された場合は、いずれは取り除く必要が出てきます。小さければ開腹せずに内視鏡による手術で嚢腫の部分だけ取り除くことができます(腹腔鏡手術)。しかし10センチ以上大きくなってくると、開腹して卵巣全体を切り取る手術をします。
この場合、将来妊娠出産を希望している女性にとって厳しい選択になりますが、卵巣は2つある為一つ切除しても妊娠することは可能です。
妊婦さんの卵巣嚢腫
2、30代に発覚することが多いこの奇形腫は、妊婦検診の時に見つかるケースが多いです。妊婦さんの卵巣嚢腫は治療時期について慎 重にならざるを得ません。妊娠中に手術する場合、赤ちゃんを帝王切開で出産するリスクが伴います。
茎捻転の可能性が低い、腫瘍が小さい場合などは出産してから治療する人もいます。2人目以上を望む人は、最後の出産を終わらせてから治療する場合もあります。しかし、あくまで医師に相談した上で決断しなければなりません。
現状維持で普段の生活に支障がなく、捻じれや癒着がない限り、定期的に検査を受けながら治療時期を遅らせることができると考えた方がいいでしょう。痛みなどの症状がでている場合はすぐに医師の判断を仰いだ方がいいでしょう。
気になる症状があれば受診を!
卵巣嚢腫は子宮筋腫同様、女性にとって身近な病気です。しかし、奇形腫の場合いつかは取り除く必要があります。将来子供の計画がある人は特にご自分の卵巣が健康であるかどうか、年に1度は検査を受けることをお勧めします。
また、下腹部に違和感や不正出血、腹部膨満感、便秘や頻尿など普段と異なる症状がある場合も診察を受けましょう。妊婦さんは、万が一卵巣に奇形腫を発見しても深刻にならず、治療時期について医師と相談しながら適切な治療方法と時期を模索しましょう。
まとめ
あなたの卵巣は大丈夫?!卵巣嚢腫(奇形腫)について知ろう
卵巣嚢腫の種類
奇形腫の原因、症状、発症年齢
治療方法
妊婦さんの卵巣嚢腫
気になる症状があれば受診を!