結合双生児という言葉を聞いたことがありますか?あまり馴染みのない言葉かもしれません。
日本ではあまり例が見られませんが、結合双生児といえば、80年代にベトナム戦争被害のシンボル的存在として、下半身がくっついて生まれた双子のベトちゃんドクちゃんのことを思い出す人が多いでしょう。
ここでは、 結合双生児 について知識を深めてみましょう。
体がくっついた双子の赤ちゃん、結合双生児について知ろう
結合双生児とは
結合双生児は、双子20万組いれば1組位の確率で、一卵性双生児からのみ発生するとされています。一卵性の双子は、通常一つの受精卵から2人の体が形成されます。しかし、結合双生児はその過程で2人の身体が完全に分離されずある部位がくっついたままで形成されます。
受精後13日以降に分裂が起きた場合、うまくいかずに結合体が生じるという説がありますが、その具体的な原因は解明されていません。
統計的には、結合双生児は男子より女子のほうが多く(約70%)、生存率はおよそ5~25%、死産、または誕生後に亡くなってしまう可能性も高いのです。
結合箇所と分離手術
体が癒着していても2人の人間です。その為、結合部分を切り離す選択をする場合、体のどの部位が結合しているのかが大事なポイントになってきます。
結合双生児は、胸結合体、臍帯結合体、仙骨結合体、また頭蓋結合体などがいます。胸結合体の双子は、鎖骨部分から胸骨にかけてくっついていて、顔や腕や足はそれぞれにありますが、心臓が結合部に位置する為、心臓の機能を二人で共有している場合が多いです。
その為分離手術はかなりハイリスクになってきます。胸結合体は結合双生児全体の35%に上ります。
次に多いのが臍帯結合体です。臍帯結合の双子は、腹部がくっついています。肝臓や消化器官を共有している場合もありますが、心臓や頭や手足はそれぞれ持っているので、比較的分離手術を受けやすくなります。
他に、仙骨結合体は、骨盤前部と脊柱下部がくっついている双子のことをいいます。頭部がくっついている頭蓋結合体は、双子が脳の動脈を共有していることが多い為、分離手術がとても難しくなってきます。
2人1体の結合双生児
体の一部がくっついているということは、両親や当人たちの間で想像を絶する葛藤があるだろうことは容易に想像できます。医療技術が発達した今日でも、分離手術には生命の危険が及びます。2人の内どちらかまたは両方が亡くなってしまう、後遺症が残ってしまうなどのリスクがあるのです。
その為、手術をしない選択した人たちがいます。アメリカのミネソタ州出身のアビゲイル&ブリタニー・ヘンゼル姉妹です。彼女たちは、一見1人の体に2つの頭があるように見られる結合双生児ですが、それぞれが心臓と胃を持っています。
脊柱が臀部でくっついており、多くの臓器が共有されています。両親は医師から分離手術を勧められましたが、その危険性や分離後に姉妹がそれぞれ手足1本ずつしかない生活を送らなければならないことを懸念して断ったそうです。
生まれたありのままの体を受け入れて、姉妹は明るく健康に成長し、2人で水泳や乗馬、スケート、バレー等運動や運転もこなしています。現在は学校の教師として働いているそうです。
他にも、アメリカのロニー&トニーガリヨン兄弟は64歳という高齢の結合双生児で有名です。
日本の結合双生児
日本ではあまり聞かれませんが、全くいないということではありません。例として、お腹の部分がつながった沖縄の長嶺姉妹があげられます。彼女たちは幸い共有する部分が肝臓だけで分離手術に成功し、元気に暮らしているそうです。
最近は超音波検査で胎児の様子を細部まで観察することができます。その為、診断がついた時点で、産むかどうかの決断をする夫婦がいるだろうことは想像できます。実際出産を目指しても、死産や短命になりやすいのです。
しかし、結合部分が少なく、元気で、生命維持に関わる臓器を共有していなければ、現在の医療技術で十分に対応できるのではないかと思われます。
一卵性の双子を授かる可能性はとても低く、その中でも結合体が生まれてくる可能性は更に稀有です。体がくっついた双子の赤ちゃん、どんな生き方を選択しても明るく健康に育ってほしいものです。
まとめ
身体がくっついた双子ちゃん、結合双生児について知ろう
結合双生児とは
結合箇所と分離手術
2人1体の結合双生児
日本の結合双生児