妊婦にとって最も心配なことは流産することだと思います。流産を必要以上に恐れたり、流産することによって自分を責めたりする妊婦もいますが、流産は一定の確率で起こるもので避けられない場合がほとんどです。
流産にはいくつかの種類があるので、流産の種類と流産の一つである 繋留流産 について正しく知っておきたいと思います。
知っておきたい繋留流産
流産とは
流産とは、妊娠22週までに何らかの原因で赤ちゃんが死んでしまうことです。その中でも9割以上は妊娠12週までの初期に起こります。妊婦の8%から15%が流産を経験すると言われているので、流産はまれなものではありません。
年齢によって流産の確率は異なり、20代では10%、30代では25%、40歳を超えると30%と、年齢が上がるにつれて流産の確率も上がります。
流産の種類
流産には、化学流産、繋留流産、進行流産、完全流産、不全流産、切迫流産といった種類があります。化学流産は、受精をして妊娠反応が出たものの、着床が長く継続しない状態です。繋留流産は、赤ちゃんが子宮の中で死んでしまっている状態です。
進行流産は子宮口が開いて出血し、流産が進行している状態です。進行流産が起こり、子宮内のものが全て子宮外に出た状態を完全流産、子宮内のものの一部が出て一部が残っている状態を不全流産と言います。
切迫流産は、流産が起こる可能性がある状態で、流産に至らない場合もあります。妊娠12週未満の流産を早期流産、12週以降の流産を後期流産と言います。早期流産は染色体異常といった赤ちゃん側の原因がほとんどですが、後期流産は母親側の原因が多くなります。
母親側の原因としては、子宮筋腫、子宮の形に先天的に異常がある子宮奇形、子宮内の絨毛膜と羊膜が細菌に感染し炎症を起こす絨毛膜羊膜炎、子宮口が開いてしまう子宮頚管無力症、といったことです。
繋留流産とは
繋留流産は、妊娠初期である6週から9週に多く見られる早期流産の一つで、赤ちゃんが子宮の中で死んでしまっている状態です。通常の流産に見られる出血や腹痛といった自覚症状がないことが特徴なので、自分では気づかず、妊婦健診のエコーで初めて確認されることがほとんどです。
繋留流産は子宮内に胎盤などの組織が残っている状態なので、つわりがなくなる人もいますが、つわりが継続する場合もあります。
原因については、染色体異常や受精卵の異常など、多くの場合は赤ちゃん側の原因であると言われていますが、母親の身体に胎児を育てる準備が整っていないのでは、という説もあります。
母体と赤ちゃんをつなぎ、赤ちゃんに栄養供給する胎盤は、妊娠中期までに完成しますが、子宮組織の代謝が悪く良い胎盤ができないために繋留流産に至ることもあるようです。子宮組織の代謝が悪い原因は、冷えやストレス、運動不足による血行不良です。
また、ストレスは万病の元という言葉があるように、ストレスは流産の一因とも言われています。赤ちゃん側の原因であれば流産を防ぐことはできませんが、適度に身体を動かし血流を良くすること、ストレスを溜めすぎないことは繋留流産の予防になる可能性もあるので、心がけると良いでしょう。
母親の運動のし過ぎや仕事が原因で起こることはほとんどありません。
繋留流産の処置
繋留流産が判明した場合、子宮内の赤ちゃんや組織が自然に外に出るのを待つこともありますが、激しい痛みや大量出血が起こり危険な状態になる可能性もあるため、一般的には子宮内容除去術という手術を行い、赤ちゃんや組織を取り出します。
手術は10分程度と短時間のものになり、日帰りまたは1日の入院で済みます。中絶の手術とは異なり、健康保険適用の手術になります。
繋留流産の手術後
繋留流産後は急激に子宮が急激に収縮するために腹痛を感じることがあります。免疫力が落ちている場合もあるので、安静に過ごし、バランスの取れた食事を摂って、心身共に休めるようにします。生理の再開には個人差がありますが、1か月から2か月程度で再開します。
流産は繰り返してしまうことが心配ですが、繋留流産を一度経験したからといって流産を繰り返す可能性が高くなることはありません。次の妊娠については、生理が再開して2、3回程度は見送り、その後、基礎体温、生理が安定してからが良いと言われます。
まとめ
知っておきたい繋留流産
流産とは
流産の種類
繋留流産とは
繋留流産の処置
繋留流産の手術後