不妊治療には大きく分けて4種類あります。タイミング療法、人工授精、体外受精、顕微授精(けんびじゅせい)です。
排卵日に合わせて夫婦でタイミングを取るタイミング療法を半年程度続けても妊娠しなかった場合、男性側に不妊の要因がある場合、夫婦共に不妊原因が不明な場合などに受ける手法が 人工授精 となります。
必ずしもタイミング療法から試さなければならないというものでもなく、初めから人工授精を行うこともできます。医師とよく相談しましょう。
人工授精のリスクを知っておこう
人工授精はどのように行うの?
まず、超音波エコーの検査で排卵日を推定します。
次に、当日男性側から精液を採取し、クリニックにて洗浄濃縮を行います。この洗浄によって、不純物が取り除かれると共に運動率が良い精子だけを抽出することができます。
最後に、内診台に上がりカテーテルやチューブで洗浄後の精子を子宮内へと注入します。数日後に排卵しているか確認の内診をすることもできますが、これは個々人の判断になります。
1回にかかる費用は保険診療外のためおよそ2~3万になります。人工授精では6回目までに妊娠する可能性が90%と高くなります。
人工授精にはどんなリスクがあるの?
子宮内に精子を注入した後の妊娠までのプロセスは、自然妊娠と変わらないといわれます。では、人工授精を行ったときに生じるリスクを確認しましょう。
細菌感染
精子を注入する器具を使い子宮に直接精子を注入しているため、医師の腕によっては膣や子宮に傷がつき、除去しきれなかった細菌による感染リスクはあります。
ですが日本の場合医療技術も清潔さもかなり高度なものですし、施術後に出される抗生剤を数日間飲んでおけばそのリスクは防げるでしょう。
新生児が障害を持つ可能性
オーストラリアや日本の調査で、自然妊娠に比べ不妊治療では2倍近いリスクを持つ可能性があるという結果が出ているようです。
ですが、これは必ずしも不妊治療に起因するのではありません。なぜなら、人工授精は精子を子宮内に直接注入するという点のみが自然妊娠と異なり、それ以降の受精や着床といった流れは自然妊娠と同じなのです。
万が一赤ちゃんに異常があったとしても、それは人工授精を行ったことによるものとは言い切れません。たとえば、女性も男性も高齢になることで染色体異常や遺伝子の不具合が起こる可能性が高まります。その他、趣向品や化学物資など様々な要因がリスクの範囲内だと考えることができます。
副作用
母体のホルモンの状態にもよりますが、排卵誘発剤やホルモン注射を打たなければならない方もいます。体外受精はそのシステムから毎日注射を打つこともありますが、人工授精の場合ほど重症な排卵障害でない限りそこまで心配することはありません。ですが、医師とよく相談してから始めましょう。
また、ホルモン剤や排卵誘発剤による過度の刺激が原因で、卵巣過剰刺激症候群という卵巣が腫れ、お腹に水が溜まる病気になる可能性もあります。最悪入院治療が必要になる場合もあります。
多胎妊娠
多胎妊娠は、全ての妊娠数の中で2%前後といわれています。ですが排卵誘発剤を使うと、双子や三つ子になる可能性があります。排卵誘発剤を使って15胎出来た記録があります。
体外受精の場合ですが、8胎出産した例があります。特に、排卵誘発剤に反応しやすい方や多嚢胞性卵巣症候群の方にはそのリスクが増えます。
精神的ストレス
1回あたりで妊娠する確率はおよそ10%程度といわれています。また人工授精では6回までに妊娠する可能性が90%と高く、それ以後は徐々に妊娠率が下がっていくという統計が出ています。その為、回を重ねるごとに終わりを意識して精神的ストレスが生じます。
ただ、7回以降でも妊娠する可能性が0になるわけではないので、気持ちを強く持ちましょう。
一番のリスクは?
やはり排卵誘発剤やホルモン剤を使うことによる副作用の問題でしょう。過度の刺激が原因で卵巣過剰刺激症候群という卵巣が腫れ、お腹に水が溜まる病気になる可能性もあります。最悪入院治療が必要になる場合もあります。
特に、多嚢胞性卵巣症候群の方が治療を受けるとこの病を10%程度の確率で発症するとされています。さらに、30%程度の確率で多胎妊娠になるともいわれています。
この卵巣過剰刺激症候群という病になると、血圧や内臓機能の低下、血栓症、呼吸障害など様々な症状が出ることもあり、最悪入院をしなければならなくなります。
人工授精を行う前に夫婦で検査をしっかり行い、その結果に基づいて信頼できる医師と相談してリスクについても確認してから治療を受けましょう。
まとめ
人工授精のリスクを知っておこう
人工授精はどのように行うの?
人工授精にはどんなリスクがあるの?
一番のリスクは?