不妊治療に取り組んでいる夫婦ならば一日でも早く妊娠したいと思うはずです。 hCG 注射 は不妊治療によく使われる薬です。しかし不妊治療に用いられる薬のことをどれだけの人が理解しているでしょうか。
自分の体に投与されるものですからよく理解しておきましょう。
不妊治療の強い味方!?hCG注射
hCG注射とは何?期待できる効果は?
hCGとは何かご存知でしょうか?正式名称はhuman chorionic gonadotropinと言います。日本語では「ヒト絨毛性ゴナドトロピン」と訳されています。
妊娠すると女性の体には絨毛と呼ばれる組織が作られます。その絨毛から分泌されるホルモンがhCGです。hCG注射とは注射器によって人工的にhCGを投与することです。hCG注射によって期待できる効果には二つあります。
プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌促進
プロゲステロンとは基礎体温を上昇させる、子宮内膜を厚くするなど妊娠を成立、維持させるために必要な女性ホルモンです。そのプロゲステロンの分泌が少ないと黄体機能不全という妊娠しにくい体となってしまいます。
また妊娠できたとしてもプロゲステロンの分泌が少ないと子宮内膜が剥がれやすくなってしまいます。hCG注射を打てばプロゲステロンの分泌を促してくれるので黄体機能不全などに悩む女性にも妊娠を成立、維持できる可能性が高くなります。
排卵を促す
hCG注射を打つと約24~約36時間後に排卵が起こると言われています。無排卵など排卵障害に悩まされている女性にも効果が期待できます。また、排卵のタイミングがわかれば妊娠の確立もアップします。
知っておきたい副作用
プロゲステロンの分泌や排卵を促してくれるなんて妊娠を望んでいる女性には希望の薬だと思いませんか?しかし、薬にはどのような薬にも副作用の存在を忘れてはいけません。hCG注射にも副作用として三つの症状が考えられます。
OHSS(卵巣過剰刺激症候群)
卵巣内の卵胞が過剰に刺激されてしまい卵巣が腫れてしまう症状です。卵巣が腫れることによりお腹に水が溜まる腹水という症状になることもあります。
また胸にまで水が溜まる胸水という症状になり呼吸困難を起こす人もいます。OHSSが進行することで卵巣がねじれてしまい急激な腹痛が起こる、または血液が濃縮され血栓症を引き起こす可能性もあります。
生理周期の乱れや質が下がる
hCG注射は排卵を促してくれますが、栄養剤ではありません。hCG注射を打ち続けていると、妊娠できる状態まで育っていないものが排卵されることもあるということです。
卵胞が十分育っていないにもかかわらずhCG注射で強制的に排卵させたとしても妊娠に繋がる可能性は低くなります。
また、hCGは妊娠して初めてあらわれるホルモンです。それを投与することにより女性ホルモンのバランスが乱れ生理周期が乱れてしまうということもあるそうです。
その他の副作用
吐き気、だるさ、めまい、頭痛、腹痛、疲労感、イライラなど精神的な症状を引き起こす可能性があります。また、注射による発熱、注射箇所の発赤やしこりがみられることもあります。
hCG注射で必ず排卵するとは限らない
排卵する可能性は高いですが、残念ながら排卵しない場合もあります。しかし排卵しなくてもプロゲステロンの作用により基礎体温は上昇するため排卵したように思ってしまいます。
排卵したか正確に知りたい場合は産婦人科で超音波検査を受けましょう。超音波検査により卵胞の成長具合も確認できますので何回か通院することをおすすめします。
医師任せではなく内容をよく理解しよう
不妊治療を始めると一日でも早く妊娠したいという思いが先走ってしまいがちです。医師から勧められた治療方法がよく理解できなくてもやってしまうということはなにも不妊治療だけに考えられることではありません。
しかし、その治療によりますます妊娠しにくい体となってしまっては逆効果です。副作用についてしっかり理解し、自分の体に持病や不調があれば医師に詳しく説明しましょう。
もちろんhCG注射によって無事妊娠出産された女性はたくさんいます。しかし、良い面だけをみて判断する前に自分の体に本当に投与しても良い薬か考える必要があります。
まとめ
不妊治療の強い味方!?hCG注射
hCG注射とは何?期待できる効果は?
知っておきたい副作用
hCG注射で必ず排卵するとは限らない
医師任せではなく内容をよく理解しよう