自然妊娠が難しく医療の力を借りなければならない夫婦が多くいます。2015年に行われた出生動向基本調査では15.6パーセントの夫婦が不妊治療を受けたことがあると回答しています。不妊治療には 排卵 誘発剤 がよく用いられます。
不妊症に悩む夫婦にとっては魅力的な治療薬ですが 副作用 についても調べる必要があります。
理解しよう!排卵誘発剤の副作用
排卵誘発剤とはどのような薬?
卵巣を刺激し成熟した卵胞の数を卵巣で増やし良質な卵子を育てるための薬です。また、排卵する力が足りない場合に排卵を促す手助けをしてくれる薬でもあります。
「排卵誘発剤を使用することで奇形児が生まれる可能性はないか」という心配の声を耳にすることもありますが、排卵誘発剤は卵巣を刺激しますが卵子には作用しません。したがって、排卵誘発剤の使用による奇形児はあり得ないです。
排卵誘発剤には経口薬と注射薬の二種類があります。最初は効き目が穏やかな経口薬から始め、効果がなければより効き目の強い注射薬を使用します。しかし、注射薬は効果が大きい分、副作用が現れる確率も高くなります。
排卵誘発剤の効果
排卵誘発剤は卵巣を直接または間接的に刺激することで、卵胞を育てる効果と排卵を起こす効果があります。卵胞が排卵に必要な大きさまで育たない人や排卵しにくい人に有効です。
また、より確実に排卵を起こすため、ホルモンの状態を整える目的で使用されることもあります。
排卵誘発剤の副作用
多胎妊娠
排卵を薬によって誘発するため、複数の卵子が排卵される可能性があります。そのため自然妊娠では1パーセント未満である多胎妊娠の可能性が、経口薬の使用で約5パーセント、注射薬の使用で約20パーセントと可能性が高くなります。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
排卵誘発剤によって刺激された卵巣が大きく腫れることを言います。ほとんどは経過を見るだけで自然に消えますが、重症になると腹水や胸水が溜まり、呼吸困難を起こすこともある重篤な副作用です。
経口薬の使用でこの副作用が起こることは稀で、注射療法の副作用で起こることがほとんどです。卵巣過剰刺激症候群は若くて卵巣の反応の良い方や多嚢胞性卵巣症候群(POCS)の方が発症しやすいと知られています。
子宮内膜が薄くなる・子宮頚管粘液が少なくなる
排卵誘発剤の使用で子宮内膜が薄くなり、着床率が下がることがあります。また、アルカリ性の性質を持つ子宮頚管粘膜が少なくなることで子宮頸管内が酸性となりやすく、なかなか妊娠できない原因となります。
使い続けると効果が薄れてくる
どのような薬でもあることですが、使い続けると反応が鈍くなり効果が薄れてきます。効果が現れないにもかかわらず使用し続けるのは危険です。通常6周期使っても効果が現れなければ、治療方針の見直し、もしくはお休みを挟む必要があると考えられています。
効果を焦らない
排卵誘発剤は妊娠を希望している夫婦にとっては希望の薬です。すぐに妊娠できれば良いかもしれませんが、排卵誘発剤を使い治療を続ければそれだけ費用も時間もかかります。
排卵誘発剤で妊娠の可能性は高まりますが、副作用をしっかりと理解し納得した上で使いましょう。焦らないことが大切ですが、治療にかける時間や費用について夫婦で話し合うことはとても大切です。不妊治療をやめたら授かったという話はよくあります。
「不妊治療不妊」という言葉があるように不妊治療というものはそれだけでストレスフルで不妊の原因になっていることもあるのです。
効果がないからと自己判断で薬の量を増やす、または使い続けることは良くありません。医師の指示に従い、時には不妊治療をお休みするという勇気も必要なのです。
まとめ
理解しよう!排卵誘発剤の副作用
排卵誘発剤とはどのような薬?
排卵誘発剤の効果
排卵誘発剤の副作用
効果を焦らない