近年「妊活」という言葉をよく耳にしますが、現在の日本で 不妊症 に悩む夫婦は6組に1組と言われており、近年増加傾向にあるとされています。また、医療の発達により、不妊治療の成績も向上しているとともに、不妊治療をしている方も増えてきています。
不妊症と治療法
不妊症とは
一般に、通常の夫婦生活を送っていると、だいたい半年~1年で妊娠する確率が9割以上とされており、2年以内ではほぼ100%妊娠するといわれています。それに対して不妊症とは、妊娠を望んでいるにも関わらず2年間夫婦生活を続けても妊娠に至らない場合をさします。
原因
不妊症の原因は、女性側と男性側のどちらか、あるいは両方に原因があることがあります。
女性側としては卵巣や子宮自体に器質的な問題があることもあるのですが、特に器質的な問題がなくてもストレスや冷え、生活習慣の乱れなどでホルモンバランスが崩れて妊娠しにくい体になっている場合もあります。
また、男性側には精子を作り出す精巣自体に器質的な問題があり、精子の質が低下していたり、精子や精液の量が減少している場合が考えられます。
そのため不妊症と診断されたら、まずは原因を追究し、その夫婦に合わせた治療法を行っていくようになります。
治療法
不妊症の治療は、器質的な原因があればまずそこにアプローチし、原因疾患の治療をしていきます。特に原因がない場合、まずはどの夫婦もタイミング法という治療法から行うことが多いです。そのうえで、結果が出ない場合は治療法を変更していきます。
タイミング法
不妊治療で最初に行われるのがこのタイミング法です。これは男性側に異常がなく、原因がはっきりとわからない場合に行われます。
このタイミング法を実施するにあたり、女性は毎朝起きぬけに基礎体温をつける必要があります。この基礎体温をもとに、超音波検査などと組み合わせて排卵日を予測することができます。そしてその排卵日前後に合わせて夫婦生活を持つことで、自然妊娠を目指します。
しかし女性側が多嚢胞卵巣症候群である、何かしらの原因で稀発月経であるなど、周期的な排卵が見られない場合は、排卵誘発剤の使用やホルモン療法を合わせて行われることがあります。
タイミング療法での妊娠率は5%前後とされていますが、まずはこの方法を半年ほど続けてみて自然妊娠に至らない場合、状況に応じて人工授精や体外受精を検討します。
人工授精
タイミング法で自然妊娠に至らない場合、次に考慮されるのが人工授精です。この人工授精は女性の排卵の前日~当日に男性の精子を採取し、子宮内に注入するといった方法です。
この採取した精子は、質の良い精子のみを注入するため、洗浄・濃縮してから子宮に注入します。この2週間後に、血液検査にてhCGホルモンの測定をし、妊娠判定をします。
人工授精での妊娠率は10%前後とされており、だいたい5~6回以内人工授精にて妊娠できる人がほとんどです。そのため、人工授精を5回行って妊娠が成立しない場合、体外受精を検討します。
体外受精
体外受精は、女性側に何らかの原因があって排卵できなかったり、排卵しても子宮まで届けることができない場合にも適応されます。また、男性側も精子の量が少ない、うまく精子が機能しないなどの問題がみられる場合にも体外受精が適応となります。
治療の手順としては、採卵手術により女性の卵巣からとりだした卵子と、男性の精子を遠心分離機にて分離させ、質の高いものだけに分けたものを体外で人工的に授精させます。そしてその受精卵を培養させた後、女性の子宮内に戻すという方法です。
体外受精は妊娠率が30~40%程と高くなりますが、費用は保険が適用されないため、大体30万円~50万円ほどと高額になります。そのため、他の不妊治療でうまくいかなかった場合や、器質的な原因がみられる場合などに限定して行われます。
おわりに
不妊症と診断されても、今後全く妊娠できないというわけではありません。様々な治療法が今日では確立されつつあるのです。そのため妊娠を望む場合は、毎日根気強く基礎体温をつけるとともに、夫婦で足並みをそろえて、不妊症と向き合うことが大切です。
まとめ
不妊症と治療法
不妊症とは
原因
治療法
タイミング法
人工授精
体外受精
おわりに