不妊治療を長く続けていると、なかなか結果が出ない悲しさや悔しさ、努力する虚しさから「どうして私は妊娠できないの?」と、周囲の幸せな光景を妬んでしまうことがあるようです。
今回は、 不妊様 についてご紹介します。
卑屈さと悲しみを傲慢に変えてしまう不妊様
不妊様とは
不妊様とはいろんな基準がありますが、端的に言えば「不妊のために周囲の子どもにまつわる幸せを許容できなくなってしまっていることを全面に押し出して配慮を求める」人です。
私はこんなに不妊治療を頑張って報われないのに、努力もしないで妊娠できる人が妊娠を見せつけてくると思い込んだり、他の人には子どもができるのに自分にできないなんてズルいから少しくらい配慮を求めても悪くないと考えてしまうために、周囲に多大な負担をかけてしまう不妊様。
これは不妊治療に限らず、誰もが持ってしまう可能性がある負の感情です。努力していたのになかなか報われない仕事の成果を要領がいい同僚が簡単に追い抜いてしまうような辛さ。
普通はそこで次へ向けて頑張ろうと思えますが、妊娠というものは年齢や体質もあり、リミットを意識し、周囲を気にして、出口のない暗闇に心がとらわれてしまうことがあります。
その時、まるで「配慮しなさい」が正当なマナーであるかのように、成立してしまった場合、不妊様が誕生してしまうのです。
努力が報われない辛さ
不妊様は生真面目で融通が効かない人がなるケースがあります。これは妊娠に対するプレッシャーを消化する方法を持たないこともありますが、このような勤勉な人は今まで勉強や仕事で努力の先に成功するという成功体験を持っている場合が多いのです。
そのため、不妊治療に対しても努力が必要であり、一方で努力が報われないことに苛立ちを感じるようになります。そこで一見努力もなしに(と不妊様には見える)子どもを持つことができた人間に対して強烈な憎悪や嫉妬を持ってしまうのです。
そのような感情を持ち始めた時には「報われない自分は可哀想な存在」になっているため、配慮をして欲しい、とか気持ちを考えて欲しい、などまるで相手にマナーがないかのように貶める作業を始めます。
人と比べてしまう辛さ
なぜ不妊様はそんなにも周りの幸せに攻撃的なのでしょうか。それには人と比べてしまう辛さがあります。不妊治療をしているカップルすべてはないでしょうが、多くが結婚してから子どもはまだ?と聞かれたり、親からせかされたり、プレッシャーをかけられた経験があります。
不妊治療を伏せている相手がよく「引き合い」を出すのも、不妊治療中の人には辛い状況です。うちはうちと言ってもそれを許容してくれない人はいるものです。
周りと比べ始めてしまうと、「人は幸せなのに、なぜ自分は辛いのか、自分が辛いのだから少しばかりいたわってもらってもいいのではないだろうか」そう考えてしまうようになる場合があります。
不妊様になってしまう危険性
不妊治療をしている人たちは、スタートこそ将来出会う我が子の姿とファミリーの形を想像し、希望を持って前向きに取り組む人が多いはずです。
しかし長く続けるうちに、出口のないトンネルをひとりで歩いているような孤独感、無力感から心が疲れてしまう人もいます。不妊様は不妊治療を続ける人であれば、誰でもなってしまう危険性があるのではないでしょうか。
不妊を乗り越えた先に親になるという自覚を
不妊治療に苦しむ人は多くいます。その苦しみから自分自身が精神を病んでしまう人がいます。これは他の病気でも闘病がつらすぎて、介護や看護してくれる人にすら当たってしまう人がいるのですから、辛い治療中に心が疲れてしまうことや周囲に対して配慮できなくなってしまうことは珍しいことではありません。
不妊様になりそうになったら、ひとつ思い出してみませんか。それは不妊治療が終わった時、それは人の親になるということを意味しています。自分が子どもだとしたら、不妊様のように他人に厳しく傲慢で厚かましい親に育てられたいと思うでしょうか。
不妊治療は他の病気とは違います。一人の戦いではなく、必ずパートナーがいます。一人で孤独を抱えるのではなく、辛さを分かちあい、いつか親になるなら、どんな親になりたいか、思い描き続けることが、不妊様になってしまいそうな自分から解放される一歩になるはずです。
まとめ
卑屈さと悲しみを傲慢に変えてしまう不妊様
不妊様とは
努力が報われない辛さ
人と比べてしまう辛さ
不妊様になってしまう危険性
不妊を乗り越えた先に親になるという自覚を