体の臓器の中でも卵巣はたくさんの種類の腫瘍ができやすい場所です。卵巣にできる腫瘍は、その多くが良性ですが中にはチョコレート嚢腫のように破裂する危険があるものもあるのです。
今回は、 チョコレート 嚢腫 とその他の卵巣嚢腫の症状と対処方法について解説します。
卵巣嚢腫とチョコレート嚢腫の症状と対処方法
卵巣腫瘍の種類
卵巣にできる腫瘍は、ゼリー状の内容物を含んだ嚢胞性の腫瘍と固いこぶのような充実性の腫瘍の2種類があります。割合としては、圧倒的に嚢胞性の腫瘍が多いのです。一般的に充実性の固い腫瘍は悪性である可能性が高い傾向があります。
一方、嚢胞性の腫瘍のうち約95%は良性であり、この良性の嚢胞性腫瘍を卵巣嚢腫というのです。卵巣嚢腫は30代から40代で発症しやすく、他の場所にできる腫瘍と比べて大きくなる特徴があります。
初期症状は、他の臓器と癒着をしない限りほとんどありません。ある程度まで腫瘍が大きくなると、下腹部の違和感やしこり、下腹部痛などの症状があらわれます。
しかし、卵巣嚢腫が破裂したり感染をおこしたりすると、激しい痛みや嘔吐や発熱などの症状が出るのです。そのときには、緊急の手術が必要になるため、救急車を要請してください。
卵巣嚢腫がねじれることを茎捻転といいますが、茎捻転しやすい卵巣嚢腫はまわりの臓器と癒着せずに、大きさも小さめであることが多いのです。茎捻転は、運動中や姿勢を変えたときにおきやすいでしょう。
卵巣嚢腫の検査と治療
診断は、症状の聞き取りと腹部の触診、婦人科での内診を行い卵巣に腫瘍があるかを確認します。卵巣に腫瘍があるようならば、大きさと形そして嚢胞性か充実性かを確かめるために画像診断を行うのです。画像診断は、超音波検査やCTスキャンやMRIが行われます。
腫瘍の化学的特性を調べるために、血液検査を行い卵巣腫瘍マーカーの測定も行うこともあるでしょう。内診をしてみても診断がつきにくい人や卵巣嚢腫が破裂している可能性が考えられるときには、最初から画像診断をすることもあります。
近年は、診断技術の発展により、良性であるか悪性であるのかの診断もかなり正確にわかるようになってきました。
しかし、卵巣にできる腫瘍の種類はとても多いため手術前にすべてを把握することは難しいのです。そのため、正確な診断をするためには卵巣嚢腫の病理組織による診断がとても重要です。
卵巣嚢腫と診断されたら、放置しておくことは危険です。すぐに手術の必要はなくても、定期的に検診を受けるようにしましょう。
また、卵巣嚢腫の大きさが7センチ以上の場合は手術が必要です。手術治療は、年齢や妊娠の希望の有無、腫瘍の大きさなどによって決められます。
術式は嚢胞摘出術と卵巣摘出術と卵巣と卵管も摘出する付属器摘出術の3種類です。嚢胞摘出術以外は、卵巣を摘出することになるため妊娠を希望する人にとっては重要な選択になります。
破裂する危険があるチョコレート嚢腫
卵巣の中に内膜症があると生理の時に少しずつ出血し、徐々に血液が卵巣の中にたまっていきます。たまった血液によって卵巣は腫大していくのです。卵巣内にたまった血液は時間とともに変化し、チョコレート色に変色します。
そのため、卵巣内の内膜症によってできた腫瘍をチョコレート嚢腫といいます。チョコレート嚢腫は、大きくなり破裂することがあるのです。激しい下腹部痛や嘔吐があったときには破裂を疑い、すぐに救急車をよんでください。
チョコレート嚢腫は、本来ならば良性の腫瘍ですが長期間放置しておくと卵巣がんが発生することがわかってきました。しかも、たちの悪い明細胞がんができやすいのです。チョコレート嚢腫と診断されたら、より注意するようにしましょう。
まとめ
卵巣嚢腫とチョコレート嚢腫の症状と対処方法
卵巣腫瘍の種類
卵巣嚢腫の検査と治療
破裂する危険があるチョコレート嚢腫