陣痛には本陣痛、前駆陣痛などいくつか種類があります。その中でも 微弱陣痛 といわれるものは分娩期のどの時期にも起こり得る陣痛で、その名の通り『弱い』陣痛です。場合によっては母子共に危険を伴うこともあります。
微弱陣痛について知っておき、いざという時でも早めに対応できるようにしておきましょう。
微弱陣痛を知り、いざという時に備えよう
微弱陣痛とは
自然分娩では赤ちゃんが誕生する際、陣痛は必要な過程です。通常、陣痛は1度始まると徐々に痛みは強くなり、間隔も短くなってきます。そして、それに伴い子宮口が開いていきます。
しかし、陣痛の頻度・持続・強さが弱い場合や子宮口の開き具合が弱い場合、分娩の進行具合を加味したうえで「微弱陣痛」と診断されることがあります。
微弱陣痛にはお産の初めから陣痛が弱い『原発性微弱陣痛』とお産の途中で陣痛が弱まったり、止まったりする『続発性微弱陣痛』の2つのケースがあります。
いずれの場合も陣痛が弱いため分娩時間が長くなります。分娩時間が長くなると更に陣痛が弱くなるという悪循環に陥ってしまい、お母さんだけでなく赤ちゃんにも負担がかかってしまいます。「陣痛が弱いかも」と早めに感じることも重要です。
前駆陣痛と見分けがつきにくいかもしれませんが、前駆陣痛は不規則に生じ、痛みの強弱や長さが不安定、痛みはなく、不快感や圧迫感、張りだけの場合もあり、姿勢を変えるとおさまるなどの特徴があります。
間隔がある程度一定で痛みが弱い場合微弱陣痛の可能性があります。自己判断が不安な場合は早めに病院に連絡をして相談するようにしましょう。
原因と対処法
多胎妊娠や羊水過多などで子宮筋が伸びている、子宮の周辺に脂肪が付いていることで筋肉の動きが悪くなっているなどの原因で子宮収縮力が弱い場合、微弱陣痛になりやすいと考えられています。
その他にも神経支配の異常、子宮筋機能不全、全身慢性疾患、胎児や母体が要因とされる通過障害などの要因も考えられていますが、実際には原因が分からないことの方が多いようです。
微弱陣痛は母体の脱水症状の予防、母体の疲労軽減に努める、胎児損傷の予防、胎児死亡の予防、子宮内感染の予防を目標に対処していく必要があります。
原発性微弱陣痛は破水前の分娩第1期に起こることが多く、十分な睡眠と栄養補給により疲労回復を目指します。また、母子共に危険は少ないため適度な運動や浣腸を行い様子を見ます。
持続性微弱陣痛は分娩第1期終わりから第2期始め頃に多いとされています。赤ちゃんが通過できないと判断された場合には帝王切開となることもあります。
基本的には、母体に疲労がある場合は水分補給・電解質補正・ビタミン投与・傾眠に努めることで陣痛が起こることもあるため、慎重に経過を見ていくことになります。
なかなか陣痛が増強せず分娩が進まないようであれば、陣痛促進剤を用います。子宮口が全開近くまで開いているが、破水が起きていない場合は人工的に破水させ分娩の進行を促すこともあります。
考えられる危険性
分娩第1期に微弱陣痛が生じた場合は、破水前であれば母子共に危険性は少ないです。しかし、破水後であれば子宮内感染が心配となります。また、お母さんと赤ちゃんの間でのガス交換が不十分となり、胎児仮死・窒息の危険性も出てきます。
分娩の途中で微弱陣痛となってしまった場合は、赤ちゃんが出てこようとしている途中で陣痛が弱まってしまうため、非常に危険な状態となります。長時間に渡り赤ちゃんが産道に挟まれたような状態となり窒息の恐れがあります。
また、お母さんの外陰のうっ血腫脹や血尿、分泌物の汚色・悪臭、発熱などの症状が見られた場合は緊急の処置が必要です。
第3期、分娩直後の微弱陣痛では、胎盤が体外へ排出される時間が長くかかってしまうため、弛緩性出血が生じやすいとされています。
弛緩性出血は、子宮内の胎盤が剥がれた面からの出血をいい、微弱陣痛により上手く胎盤が剥がれないことにより、出血しやすい状態になると考えられています。
微弱陣痛への対策
日常生活の中で微弱陣痛を予防する方法としては、適切な体重コントロールと体力づくりです。体重の増え過ぎにより子宮周辺の脂肪が増加すれば子宮筋の動きは悪くなり、正常な陣痛の妨げとなります。
また、分娩は体力勝負であるため、お母さんが途中で疲れてしまうと陣痛は弱まってしまいます。体重コントロールと体力づくりを目的として、日頃からウォーキングなど適度な運動を心がけましょう。
また、初産の場合、陣痛が始まると緊張してしまい身体が固まり陣痛が弱まることもあります。お風呂や足湯などで身体を温めリラックスしたり、何か飲んだり食べたり、眠ったりして可能な限り体力を温存するよう努めましょう。
まとめ
微弱陣痛を知り、いざという時に備えよう
微弱陣痛とは
原因と対処法
考えられる危険性
微弱陣痛への対策